4話 歌姫との再会 ページ5
制服に着替え終わると六花は「似合ってる……」と言ってくれた。
早速外に出て中学校に向かうと、女の子がいっぱいいた。
「あの人、かっこよくない？」
「大貝中に高身長のイケメンいるって聞いたことなかった」
他校の人も、大貝中の女子生徒も含めて俺のことを見ていた。
「A、こっち来て」
六花は危険を察知したのか俺の腕をひいて校内の生徒会室まで逃げ込んだ。
「顔が良いから目立つのよね」
「……俺が中学生じゃないから、物珍しい顔で見るんだよ」
「そういえばいくつなの？」
「……17歳とか」
「高校生！？」
高校生、っていうのか。
「あ、この生徒会室で彼女と話すのは駄目か？」
「……いいけど、私がいなくても大丈夫？ 先生に見つかったら警察呼ばれるかも」
「あー、頑張って逃げる。大丈夫だ」
「わかったわ。まこぴーを呼んでくるね」
緊張してきた。
王国の者と地球で会うのは初めてだから、本当に歌姫のキュアソードだったら嬉しいかも。
しばらく待っていると、生徒会室のドアが開いた。
ガラッ
「……！」
紫色のショートヘアに、この学校の制服を着た剣崎真琴。
ずっと目が合うだけで特にお互い話を交わそうとしなかったけど、俺はその子に近づいた。
結構距離をつめたと思う。
あと1歩踏みだせば体が当たるくらいに近づいて、また目を合わせた。
「俺のこと、覚えてる？」
気まずい空気が流れる。
これで覚えてない、知らないと言われたら恥ずかしい奴だぞ。
返事を待っていると、廊下から人の声がしたからこの子の腕を引いて胸におさめ、ドアを閉めた。
「！ ちょっと……！」
抱きしめられている状態が嫌だったのか、胸を押されて離れさせられた。
「その声、やっぱり……。歌姫のキュアソードだよな。俺のこと覚えてるだろ」
「もしかして、騎士の？」
「そうだ。君が歌ってる最中に王女様をからかってた騎士だ」
「……ええ！？」
まさか俺のこと忘れてたのかよ。
「貴方、なんでここに？」
「Aだ」
「……Aはなんでここにいるの？ 王女様も一緒にいる？」
「俺は王女様に鏡に押し入れられてここに。王女の行方は知らない」
歌姫は悔しそうな顔をした。
「なあ、トランプ王国はどうなったんだ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
