38話 手がかりかも ページ39
あのレジーナって女の子が、キングジコチューの娘？
そんなわけないだろ。
キングジコチューの娘ってことは、トランプ王国の国王の娘ってことだ。
国王の娘はアンジュ王女一人のみ。
つまり、レジーナがアンジュ王女ってことになる。
「(ありえない。王女がジコチューの手下になったってことだぞ)」
「じゃ、まったねー」
レジーナはどこかに去ってしまった＿＿＿＿と、思ったら空を飛んでいた。
「A？」
歌姫が俺に近づいてきた。こっちの世界でキュアソードと対面で話すのは初めてだったっけ。
「アイちゃんを頼んだ」
「え？」
「じゃあな」
「あっ！ ちょっと！」
俺は急いでレジーナを追った。
・
途中まで追いかけることはできたけど、急に姿を消されて見失った。
「誰？」
後ろを向くとレジーナが立っていて、俺の左頬に飛び蹴りをいれてきた。
よけきれずにそのままくらうと、壁に衝突した。
「いってぇ……」
唇切れて血でたんだが。首が折れなかっただけましか。
「さっきから私の背中をコソコソとつけるなんて100年早いわよ」
「そりゃどうもすみませんね。俺はお前に聞きたいことがあるんだよ」
「何よ」
「キングジコチューの娘って本当か？」
「ええ、そうよ。私はキングジコチューの娘」
嘘をついている様子でもない。
「じゃあお前は、マリー・アンジュなのか？」
「違うわ。私はレジーナよ。何言ってるの？」
こいつはキングジコチューが国王だということを知らないのか。
なんで娘だなんて真顔で言いきれるんだろう。誰かに記憶を操作されてる？
「好きなものはなんだ」
「甘いものよ！」
王女と同じこと言ってる。
「母親はどこにいる？」
「……ママは……、っ、そんなのどうだっていいでしょ！
ていうか、どうして私の後をつけてきたのよ。聞きたいことってそれだけ？そもそもあんた誰よ」
これ以上話してるとまた殴られそうだな。
「トランプ王国の生き残りだよ」
「ふーん。パパがあれだけ壊したのに、まだ生き残りがいたのね」
レジーナはにっこり笑った。
「私、今は気分がいいの。だからこれくらいで逃がしてあげる。今度会った時はその程度で済むかわからないけどね」
そう言うと瞬時に消えて、どこかに消えてしまった。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
