34話 忘れてた記憶 ページ35
「今日はアイちゃんに用があって来ましたの」
「2階にいるよ。……君は？」
男は俺を見た。
「友達だ。付き添いで来た」
「名前はなんて言うんだい？」
「太郎だ」
「……ははっ、そうか。よろしくね、太郎君」
2階に行く途中、ありすは言った。
「どうして私の付き添いだなんて嘘をつかれたんですか？」
「なんとなく」
「お知り合いでしたか？｣
「違うと思う、けど初めて会った気がしない。
なぁ。俺がトランプ王国から来たこと、あの男には言わないでほしい」
ありすは了承してくれた。
2階に行くと、アイちゃんは眠っていた。
「やっぱ、王女にどことなく似てる」
「王女様の生まれ変わり」
「！」
「だったら、すごいですわね」
「……まさかな」
起こすわけにもいかないから、また今度話を聞……。
____A
「……！」
____このことは口外禁止ですからね。
「うっ！」
頭が痛い。
「A君！ 大丈夫ですか！？」
____キュアソードが知ったら、心配してしまいます。
「な、んだ、これ」
今度は違う記憶、これは、俺がこの世界に来る時のことだ。
俺はあの不思議な鏡に入って、敵と話していた王女と再会した。
____A！？ はやく行くのです。キュアソードがこの向こうにいます。
____王女を置いて行けるわけ……！ 自分の体の状態わかってんのか！ さっきまで死にかけだったくせに！
____っ、治ったのです。お父様がエターナルゴールデンクラウンを解放したから……。
____あれって、解放したら封じ込まれていた闇の力まで……。
____そうです。お父様は私の命を守るためにクラウンを使い、闇の力を解放しました。それによってジコチューが現れたのです。
キングジコチューはお父様です。
「！！」
ああ、そうだった。
王女に無理矢理、この世界に押し出される前に話されたんだ。
なんで、なんで忘れてたんだろう。なんで今思い出した？
「A君！」
「！ あっ、ありす……」
心配した顔で俺を見ていた。
その時、「あい、あい」とアイちゃんの声が聞こえた。
「起きたんですね」
駆け寄ってアイちゃんを見ると、不思議な顔で俺を見た。
そしてニコッと笑った。
「アイちゃん、起きたんだね」
後ろを振り向くとジョー岡田がいた。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
