33話 ジョー岡田と ページ34
俺の求めるもの……。
そんなの一択だ。
「両思いになりたい。俺に向けた愛が欲しい」//
恥ずかしくて片手で目元をおおった。
「な？ どうにもできないだろ。本当にもう帰ろ、って……」
歌姫を見ると変な顔をしていた。
眉を八の字にして潤んだ瞳で俺を見ている。
どんな顔？？
「どうした、変な顔して」
「そんなふうに人を思えることが素敵だなって｣
「……恥ずかしくなってきた。まじで帰るぞ！」
「あっ！ 待って」
俺の後ろをついてきた。
「ありがとな」
「？」
「歌姫と話してたら、楽になってきた」
両思いは無理でも、こうやって話してるだけで楽しいな。
「よかったわ」ニコ
家に帰った後、いつもよりぐっすり眠れた。
次の日から王女探しをした。
でも見つからなくて、また後日探すことにした。
「……！」
そういえばあの赤ん坊、アイちゃんだっけ。
あの子なら何か手がかりになるんじゃないか？
どことなく王女に似ていたような気もしなくもない。
「ありす。アイって赤ん坊に会わせてほしい」
ありすに聞くと、ソリティアという店でジョー岡田という男に面倒を見てもらっているらしい。
だからありすと2人でソリティアに行った。
アクセサリーショップを経営しているんだと。
「アクセサリーか。俺には無縁だな」
「ふふっ。真琴さんとお揃いのアクセサリーも悪くないと思いますけれど」
「なんであいつが出てくるんだよ」
「四葉家のお屋敷には、各部屋に監視カメラが搭載されていますわ」
「……！！ まさか、あの日のことも全部……」
「拝見しましたわ」
プライバシーは？
「ちなみにクローバータワー付近でのイチャつきぶりも……」
「も、もういい！ 恥ずかしすぎる。てかなんで聞いてんだよ」
「ごめんなさい。聞こえてしまったんです」
「……あいつは俺のことなんて好きでもなんでもないんだ。お揃いのアクセサリーなんて、一生付けられない」
「……恋愛というのは難しいものなんですね」
「ああ。それより早く店に入ろう。聞きたいことあるんだ」
中に入ると客はいなかった。
辺りを見渡していると、男の声が聞こえた。
「やあ。今日はどうしたんだい？」
ジョー岡田と呼ばれる男が現れた。
「！！」
なんだろう、この人。初めて会った気がしない。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
