3話 恥ずかしがり ページ4
Aがまこぴーに会いたい理由ってなんだろう。
アイドルに興味があるわけでもなさそうなのに、もしかして一目惚れした？
「A。まこぴーのことどう思ってるの？」
「え？ いや、なんとも……」
「ならどうしてまこぴーに会いたいの？」
「そういうわけじゃない。俺の知り合いに似てるから、話を聞こうかなって」
そっか。Aは自分の家を知らないから、知り合いに聞けばわかるかもしれないってことね。
とんだ勘違いをしていたわ、恥ずかしい……。
「そういうことなら、すぐまこぴーに連絡してみるね」
「アイドルの連絡先を知ってるのか？」
「え、ええ。色々あって……」
六花が連絡をとると、剣崎真琴は俺の身元を確認するためならと協力してくれたみたいだ。
週末の日曜日に、学校でソフトボール部の試合があるらしいから、こっそりそれに着いていって会うことにした。
「お家、見つかるといいね」
「……見つかるかな」
「え？」
「もう寝る。おやすみ」
トランプ王国とこの世界は違いすぎる。
あの鏡がなければ俺は向こうへは行けない。でも行ったところで、キングジコチューに支配されているから倒さないと意味ない。
キングジコチューを倒したとしても、王女様がいなければ王国は終わりだ。
そういえば婚約者のジョナサン・クロンダイクは？
あの人は確か遠方の警備を任されて行ってしまわれていたけど、王国の危機に戻って来たとも考えられる。
それなら、あの人もジコチューになったか、あるいはこの世界にいるのか……。
「はぁ、頭痛い」
いったん、考えるのはやめよう。
日曜日に備えて寝よう。
・
日曜日、当日
「おはよう、A」
「……おはよう」
俺の部屋に立花がいる。わざわざ起こしに来てくれたのか。
朝ごはんを食べて着替えようとした時、シャツを貸してくれた。
「はい、これ」
「？」
「うちの生徒だってバレないように、しっかり制服着てね」
わざわざ学校から借りてきてくれたのか。
「ん」
服を脱ぐと、六花は恥ずかしそうに顔を真っ赤にした。
「ちょっと！ 部屋で着替えて！」///
「え？」
恥ずかしがり屋だな……。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
