2話 確かめないと ページ3
金曜日＿＿
今日の夕方、俺はスーパーに買い物に来た。
学校に行く前に六花が、俺に夕飯の買い出しをお願いしたからだ。
いつもは冷蔵庫にあるものを使って六花に夕飯を作っていたけど、今日は空だったから俺が買いだしに行くことになったんだ。
……最近は疲れてた顔を見せるから、大好きなオムライスでも作ってやろう。
材料を買って帰っている途中、中学生の女の子たちが前から歩いてきていた。
「まこぴーのライブチケット予約した？」
「もちろん！ 当たってるかな、ドキドキする〜」
なんだ、それ。
まこぴーって人の名前か？ アイドルみたいだな。歌でも歌ってるのか？
(そういえば、歌姫のキュアソードってどうしてるんだろう。
あの子もジコチューになった？ ……プリキュアがジコチューになったら強いだろうな)
ボケっと歩いていると、いつの間にか家についていた。
六花が帰ってくると、いつものようにテレビをつけていた。
「テレビ見てる？ 勝手につけていいんだからね」
「ああ、慣れなくてな……」
液晶画面に人が映ってることが慣れない。
あんまり見ないように、料理をすることで避けていた。
「あ、まこぴーだ」
「六花も知ってるのか」
「知らない人いるの？ ってくらい有名な歌姫よ」
「歌姫って……」
すると、テレビから綺麗な声が流れ出した。
透き通るような、でも少し力強いこの声は聞き覚えがある。
＿＿まさか、まさか……。
そう思ってテレビに視線を向けた。
(……歌姫？)
六花は嬉しそうにテレビを見ていた。
「この子と知り合いか？」
「最近、うちの学校に転校してきたの。マナと凄い仲良くなってて、あはは……」
「！」
「って、マナの話は関係ないよね。ごめん」
「別にいいよ。話したいなら話せばいい」
「……ありがとう」
この子、少しだけ気になるな。
プリキュアの姿じゃないってことは変身を解いてるってことだから、ここの世界の人間の恰好をしていてもおかしくはないし、この世界にいることもおかしくはない。
歌声も彼女と同じと言える。
確かめて、トランプ王国の現状を聞き出す必要があるな。
「六花の学校って、俺も行っていいのか？」
「生徒じゃないから駄目よ。どうして……、まさかまこぴーに会いたいの？」
「ああ。会わせてほしい」
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
