18話 隠している事 ページ19
「六花」
「……A？」
六花の部屋のドア越しから聞こえるため息。
「大丈夫か？ マナから聞いたけど」
「私の勉強不足だから仕方ないわ。次頑張る！」
意外と元気で安心した。
次の日、学校の前で六花が校門から出てくるのを待っていた。
ぞろぞろと生徒が出てくる中で、六花を見分けるのは難しかった。
すると、知らない女子生徒から声をかけられた。
「ハンカチ落としました？」
「ああ。ありがとう」
この子はジッと俺の顔を見ていた。
「好きです」
「え？」
「好きです、顔が！ 体が！ 超好きです！」
ああ？
「モデルさんですか？」
「違う。あの、距離近い、離れて」
「絵のモデルに興味ありませんか？」
「はぁ？」
「興味あったらここに連絡ください！」
なんだ、怪しすぎるだろ。
「個人で写真を撮ってるんです。モデルを探しているんですが、ちょうど今見つけました！」
「やるなんて言ってない。興味ないから、これ返す」
「えー！ なぜですか！」
「怪しいだろうが……。あっ」
校門から六花が出てきた。
「俺、用事があるんだよ。もう声かけないでくれ」
「えええ！ 待ってー！」
一生追いかけてくるこの女の子をどうにかして追い払いたい。
この状態で六花に声をかければ、この子もよそに行ってくれるんじゃないか？
「六花！」
「え？A！？ どうしてここに……」
六花は俺が急いだ顔しているのを見て、「何かあったの？」と心配してくれた。
「今……、あれ？」
後ろを見ると、さっきの子はいなかった。
「？」
「あ、いや、なんでもない」
六花に声をかけたから、さっきの子は俺に声をかけなかったのかもしれない。
「一緒に帰ろうと思って、校門の前で待ってた」
「あー、ごめん！ どうしても、今日は寄りたいところあるから先に帰っててほしいなぁ」
「俺も行っちゃ駄目か？ 邪魔しないから」
「っ。実は、みんなには言っていないことなんだ」
「……そっか、じゃあ先に帰ってるよ」
「ありがとう」
六花が拒むことを無理矢理してもな。
一人で散歩でもして帰ろうと、少し遠回りをしたら、マナと歌姫に会った。
「ちょうどいいところに！！」
マナは俺に急接近した。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
