17話 美味しい料理 ページ18
「しばらく同居させてもらっている、Aです。ご挨拶が遅れてすみません」
「いいえ。んーと、二人はそういう関係だったり……」
「違う違う！」
説明するのが大変だったけど、六花ママは深くは何も聞かずに了承してくれた。
「もう、こういうことはしっかり話しなさいね？」
「ごめんなさい……」
「A君はどれくらいここに住み続ける予定なのかしら」
「しばらく。でも迷惑はかけません。家事でもなんでもします」
六花ママは俺が作った夕飯のとんかつを口にして、とても美味しいと言ってくれた。
「そう。六花のこと任せてしまっているみたいでごめんなさいね」
「いえ。俺がそばにいたいだけなので」
「へ？」///
とにかく事は済んだけど、少し気まずい。
六花が部屋に戻った後、俺は六花ママと少しだけ話をしていた。
「立花の様子はどう？」
「楽しそうです。最近は、何かにハマっているみたいです」
「そう。楽しそうならよかった。落ち込んでいたら支えてあげてね」
「もちろんです」
最初は気まずかったけど、だんだん慣れてきて、一緒に話すのが楽しくなった。
次の日の朝、起き上がってリビングに行くと六花ママの置手紙があった。
「A君へ。六花の面倒を見てくれてありがとう。これからもどうかよろしくね」
優しいお母さんだな。
こんだけ娘のことを思ってくれるなんて、六花は幸せ者だろう。
俺にはそういう親がいないからわからないけど。
「ふわぁあ。あれ？ お母さん、もう出かけたんだ」
「おはよう」
「おはよう。あ、お母さんの料理……、一緒に食べましょ」
「うん」
すっげぇ美味かった。
今日は、俺は骨折している足を診てもらうために病院に行った。
するともう綺麗に治っているみたいだったから、ギプスを外してもらい、やっと解放された。
治りが凄い速いみたいで、普通ならあと2週間くらいはかかると言われた。
(六花に報告しよ)
ちょうど六花の学校も終わる時間帯だったみたいで、学校の前を通るとマナに会った。
「え！？ A君、どうしてここに？ 足は大丈夫なの？」
「ああ。治ったんだ」
「そうなんだ！ よかったね！」
「うん。六花は？」
「立花は先に帰ったよ。ちょっと落ち込んでるから、美味しい物たくさん食べさせてあげて」
「なんで落ち込んでるんだ？」
話を聞くと、テストの成績が落ちてしまったらしかった。
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
