15話 意識してくれ ページ16
後日、学校から帰って来た六花に「おかえり」と声をかけると弾んだ声がした。
「ただいま〜」
何かいいことがあったのかな。
「なんかあった？」
「ん、なんでもないよ。今日はカレー？」
「うん。先食べる？」
「食べる！」
ご飯を食べてお風呂に入った後、六花はテスト勉強をしに部屋にこもった。
「A。六花にココアを持っていくケル」
「ココア？ なんだそれ」
「知らないケル！？」
ラケルはココアを教えてくれた。
試しに飲んでみると凄く美味しくて、俺自身こんな美味しいもの飲んだことないから気に入った。
これはすぐに六花に飲ませたいな。
「持ってくよ。ありがとな」
二階に上がって六花の部屋の前に立ってノックをしようとした時、声が聞こえた。
「とりゃー！」
＿＿バンッ！
床を叩くような大きな音が聞こえた。
「り、六花？ どうした？ 大丈夫か？」
「え！？ あ、A。そこにいたんだ。ううん！ 何でもないの！ 大丈夫！」
大丈夫なわけあるか。
「ココア、持ってきたんだけど。勉強中にどうかなって」
六花は少しだけドアを開けてくれた。
「あ、ありがとう。もらうね」
「本当に大丈夫か？」
「大丈夫、大丈夫。ちょっと熱心になっちゃって、あはは」
「……何かあったら、すぐ呼ぶんだぞ」
「うん。ありがとう」
ココアを持つとすぐに部屋に閉じこもった。
部屋の中を見せないようにされたのが少し寂しかったけど、忙しいのかな。
「ラケル。六花は何に夢中なんだ？」
「秘密ケル！」
「なんでだよ」
「六花が、秘密にしてくれって言ってたから言わないケル！」
「……ふーん、そうか」
「あ、明日で学校休みケル！」
「え？ ああ、そうか。金曜日だったな」
会えるんだ。
＿＿次の日の午後、2階からいつものように綱を使い降りて公園に向かった。
しばらく待っていると来てくれた。
「学校、お疲れ」
「ん」
隣に座った。
「いい？」
「はいはい」
手を差し出してくれたから、ゆっくり握った。
「……」//
バラのコンテストの帰りの車のことを思いだす。
寝ているにしても、俺の肩に頭を預けてくれたのが嬉しかった。
「今日は眠くないのか？」
「少し疲れてるけど、眠くはないわ」
「疲れてたら肩貸すけど」
「！ こ、この前のは偶然だから！ もう二度としないわ」
どんだけ俺が嫌なんだか。
「そういえばテストは大丈夫なのか？」
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作者名：ちゃゆ | 作成日時：2022年11月25日 0時
