鬼になった青年の話【胡蝶しのぶ】

記憶の書き換え ページ42

｢ 猪の呼吸 伍ノ牙 狂い裂き!! ｣


童磨戦に、伊之助が乱入していた。


｢伊之助君、こいつの血鬼術を吸ってはいけませんよ。肺がやられてしまいます｣


｢俺は天下の伊之助様だ！！
肺がやられたって生きてられるぜ！！｣


｢私の忠告を少しくらい聞いて下さい｣ニコ


｢わ、わかったぜ｣ビクッ



ドォォォンッ！！



｢！？｣



｢あれぇ？珍しくA君が暴れてる｣



｢！！Aさん…！｣



｢？そういえば名前はしのぶちゃんだったよね。

そっかそっか、ごめんね〜。
俺が一部の記憶変えちゃったよ｣


｢Aさんに何をしたんです？｣



｢しのぶを守らないとって言ってたんだよ。

それを俺はたまたま聞いてて、これは俺たちが不利になりそうな気がしてね。無惨様に頼んで記憶を変えてもらったんだよ。

君を拾ったのは無惨様だ、ってね。

そしたらA君、本当に信じちゃってさぁ｣



しのぶは血管が浮きでていた。



｢親に可愛いがられなかった子は影響されやすいのかな？あんまり関係ないか｣



｢可愛がられなかっただァ？どういうことだよ｣

｢君のように親に捨てられたってことだよ｣

｢…あ？｣



｢A君には血の繋がらない妹がいた。
お母さんは妹を可愛がる。だから自分もいい子にならないと可愛がって貰えない。

でもある日悪い子になったから、家に帰れなくなった。家に帰ったらまた冷たくされるから。

だからA君は逃げてきたんだよ｣



｢！｣


｢可哀想だよね｣

｢お前がAさんを語るな｣


カナヲと伊之助はしのぶの怒りっぷりにビクビクしていた。


｢怖いなぁ。可愛い顔が台無しだよ？｣





·




｢ぐっ！｣


すばしっこく動き回り、悲鳴嶼に無駄な動きをさせるAに体力を奪われていた。


｢ 血鬼術 迷宮・聖雪激駆 ｣


｢ぬんっ！！｣


鉄球を振り回して追いかけてくる雪を潰すが、次から次へと襲いかかってくる。

ザシュザシュッ！！

身体全体にかすり傷を負う。


ドォォンッ！！


｢がはっ！！｣


壁を突き破ってたどり着いた先に鬼狩りと黒死牟がいた。


｢悲鳴嶼さん！？｣

｢！？Aさん…｣


｢玄弥、時透……｣



｢上弦の壱と零が、揃った……｣

｢黒死牟、俺は別のとこに行く｣



｢待て！！｣





気づいた時にはもういなかった。

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