鬼になった青年の話【胡蝶しのぶ】

綺麗ごとを並べるな ページ36

蝶屋敷


｢……｣


しのぶはAの部屋を訪れていた。


｢しのぶ様、夕飯の支度ができました｣

｢今行きます。ねえ、アオイ｣

｢はい｣


｢Aさんは、私のことをどう思っていたと思う？

ただの情報集めの道具かしら｣


｢そんなことありません！
雪柱様はとても優しい方です。情報集めのために近づいたなんて信じられません｣


｢……そうだと、いいですよね｣



そばで聞いていたカナヲは拳を握った。



｢師範……｣




一方その頃、Aは甘露寺のいる部屋の近くにいた。



｢Aさんが上限の鬼だったんですか！？｣


炭治郎と一緒に俺の話をしている。


｢それも零らしいの。
強いのか弱いのかわからないけど、A君のことだから絶対強いわ｣


｢Aさんのおかげで呼吸を上手く使えるようになったんです。だから感謝をしてました。

それにすごく優しいからそんな危険な臭い全くしませんでした｣


｢うんうん。でも私は信じてるの！
Aさんは私たちの味方だって、だから例え酷いこと言われても最後まで信じるわ｣


｢俺も信じます！！｣

｢おー！｣

｢お、おー！｣



いや、能天気かよ。



｢っ、馬鹿じゃねぇの…｣



｢じゃあ私は今から任務に向かうわ。
そろそろここを出ないといけないの｣

｢はい！また話しましょう｣

｢もちろん！｣



出てきた。


甘露寺は日輪刀を受け取りに行くと、すぐ外に出て隣の里に向かった。

その1人になった隙を狙って俺は甘露寺と対面した。


｢誰！？｣


ジャキッ！と日輪刀に手を添える。


｢俺だよ｣

｢！A君！｣


なぜだか俺を見て喜んでいた。


｢会えてよかったわ。
一緒に鬼殺隊に戻りましょう？｣


｢悲鳴嶼から聞いてないのか？｣


｢鬼殺隊なんてどうでもいい、っていう話かしら。

理由があるんでしょう？
待っててね！鬼舞辻を倒すために頑張るから。

そしたらA君も楽になれ……｣



ザシュッ！！……ごぽっ。


甘露寺の脇腹を斬ると、口から血を吐き出した。

これは、俺の仕業だ。



｢A、君？｣


｢ 血鬼術 雪化粧 ｣



サァァァ！！

甘露寺を白い雪で固め、動けなくした。



｢……時透か｣

蓮の花を咲かす→←悪に染る。

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