ごめんね ページ34
ドッ!!!!
「!!」
しのぶは柱を呼びに行く足を止めて、大きな音がする部屋に目を向けた。
・
「はぁ、はぁ…」
「一宮ぁぁ!!」
「うっ!」
棘鉄球が胴体にあたり、部屋を突き破って遠くに飛ばされる。
おかげで外に出れた。これで逃げられる。
「 岩の呼吸 伍ノ型 瓦輪刑部 」
ドドド!!
棘鉄球で地面にたたきつけると、悲鳴嶼は着地する。
「けほっ」
「!」
「無駄だって言っただろ。すぐ再生するんだよ」
「攻撃してこないのか」
「あんたの攻撃が無駄だってことを思い知らせてやってんだよ。
人間なんて鬼が喰わなくたって死ぬんだ。
それなら最初から鬼に喰われたほうがいいんじゃねぇの?」
悲鳴嶼の空気が変わった。
空気に敏感な俺は、少しゾッとしたよ。
本当に殺気がすごくて、今すぐにでも俺を殺したいという顔をしているからな。
「…やはりお前は、死ぬべきだ」
ああ、もう頼むから、早く俺を殺してくれ。
「鬼殺隊なんて潰れちまえよ!」
こんなこと、言わせないでくれよ。
「それ、本当に言ってます?」
「!!」
後ろから声がしておそるおそる向くと、しのぶが立っていた。
いつもの笑顔はなく真顔だった。
「…ああ。人間なんて、生きてたってしかたない」
もっともっと、言わないと。
「カナエだって死んでおいてよかったんだよ。
これから嫌な思いをすることもないんだ。
鬼になっておけばよかったのにな」
俺の大切な人たちを、俺から遠ざけないと。
パチン!!
Aの頬を叩いた。
「私は鬼が嫌いです。大嫌いです。
だって姉を、大切な人たちを喰って殺すから」
しのぶの声色は少し高くなった。
「でも貴方のことは、Aさんのことは好きでした」
泣きそうな顔をしている。
声が震えていて、今にも泣きそうな顔。
その顔を見て、俺は抱きしめたくなった。
今言ったことを撤回したくなった。
それでも俺は顔色変えずに耐え続けた。
「そうかよ」
「っ、もう何を言っても無駄ですか?」
「無駄だね。
ここで鬼でも君の隣にいると約束したのも、情報をつかむためだ」
「!」
「さようなら」
「!待て!!」
シュン!
もうAはいなかった。
「くっ!」
「…」
「胡蝶、大丈夫か?」
「…いいえ。胸が痛いです」
・
「っ、ごめん」
本当は、大好きだよ。
176人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆう(プロフ) - いやいやそんなこと!次回6話程で完結しますので是非見てください!! (2021年3月11日 0時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - おぉ、なんかいつの間にか凄いことに、どうしたらこんな続きが気になる終わり方が書けるんだ? (2021年3月10日 22時) (レス) id: 9b224ffa84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ほんと増えましたよね!嬉しい……(泣)見てくれる人がいると自然とニヤけが止まらなくて気持ち悪い顔してます笑 (2021年3月6日 13時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - お気に入り登録一気に増えましたねぇ、どんどん人気になっていく、凄い、、! (2021年3月5日 19時) (レス) id: 9b224ffa84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 頑張りますー! (2021年3月3日 21時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちゃゆ | 作成日時:2021年2月19日 21時