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昔の自分と今の自分 ページ28

あれから何日か経ったが、俺はしっかり約束を守っている。

毎日しのぶのもとに訪れた。
今もこうしてしのぶの隣で仕事を手伝っている。


「終わった」

「ご苦労様です。そこの診断書とっていただけます?」

「ん」


パシリにされているけども、
まあなんだかんだ上手くやってる。

それよりも俺に血鬼術をかけた少女が気になる。今頃どうしてんだろう。
あの子は何者だったんだろう。

見るからに身寄りのない少女、だから鬼になったのかな。
上弦の集まりにもいなかったから一般の鬼だろうけど。

なんだろうな、昔の俺に似てるんだよな。





「A、またそんなに服を汚して…」


母は若いころに俺を産み、父には逃げられたそうだ。

俺は喧嘩っ早かったから、よく服を汚して家に帰っていた。
だから母さんにはよく怒られていた。


「義妹を見習いなさい。
今日も茶道を習いに出かけて行ったわよ」


俺には年の離れた義理の妹がいた。
俺を産んで4年後に、道端で段ボールに入った赤子を見つけ拾ったんだ。

母さんはその赤子が女の子だと知ったとき、俺よりも大切に育てた。
茶道以外にも、その子が望むことはなんでもする。
ずっとかわいがっていた。

そのたびに俺は母とその子に距離を感じていた。

そして俺が10歳、義妹が6歳の時かな。
俺は心が大人になったのか喧嘩をしなくなった。


「Aは大人になったね」


母さんが褒めてくれたのは何年ぶりだろう、って幸せ感じてたな。

その時から外に出たらいい子を装った。
いい子にしてれば誰も俺を拒まないから。

でもある日、その幸せは崩れた。
よく喧嘩をしていた男子に声をかけられたんだ。


「最近お前つまんな。最近になってやっと母親に可愛がられたのかよ?」


プツン、と俺の中で何かが切れた。
気づいたときにはその男子をぶん殴ってボコボコにしていた。

このままで家に帰ったらまた母さんに怒られる。見捨てられる。
そう思ったら怖くなって、俺はそれ以降家に帰っていない。

お館様に拾われて、鬼殺隊に興味を持ち力をつけて入隊した。

そして今の俺がある。
母さんと義妹がどうしているかは未だにわからない。


あの鬼の少女は俺に似ている。
必要とされないことを怖がっている。

本当の自分を今でも探し続けている。






「__さん、Aさん」



「!」

「どうしたんです?何度も呼びましたよ」





なんてな、昔の自分と重ねたってなにも生まれやしない。

信用するかしないか→←あざとい女



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設定タグ:鬼滅の刃 , 胡蝶しのぶ , 男主   
作品ジャンル:恋愛
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ゆう(プロフ) - いやいやそんなこと!次回6話程で完結しますので是非見てください!! (2021年3月11日 0時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - おぉ、なんかいつの間にか凄いことに、どうしたらこんな続きが気になる終わり方が書けるんだ? (2021年3月10日 22時) (レス) id: 9b224ffa84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ほんと増えましたよね!嬉しい……(泣)見てくれる人がいると自然とニヤけが止まらなくて気持ち悪い顔してます笑 (2021年3月6日 13時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)
天麩羅 - お気に入り登録一気に増えましたねぇ、どんどん人気になっていく、凄い、、! (2021年3月5日 19時) (レス) id: 9b224ffa84 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 頑張りますー! (2021年3月3日 21時) (レス) id: c0465afe59 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃゆ | 作成日時:2021年2月19日 21時

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