殺してください 弐【胡蝶しのぶ】

君達のおかげ ページ48

俺は日輪刀に細工をしていた。

元々俺の刀には氷の膜が薄く貼られていて麻痺効果がある。

そこで刀の鞘に藤の花の毒を塗っておいた。


でも情報が回ってるなら鬼は毒を分解できるだろう。

だからもう一味価値を加えた。


それが雛鶴さんの毒。

彼女のクナイには鬼の再生を遅くする効果がある。

この刀にそれを塗り且つ藤の毒を仕込めば体力が持たない。



｢ 血鬼術 霧氷・睡蓮菩薩 ｣



氷で出来た巨大な菩薩地蔵を作り出す。

でも童磨の身体は弱っていたため威力も落ちている。


｢頸を斬ってください｣


カナヲは笑っていた。


｢かならず｣




シュッ！！




｢ 花の呼吸 終ノ型 彼岸朱眼 ｣




動体視力を極限まで高めると周囲の動きが鈍く見えてくる。

カナヲは童磨の攻撃を見切って氷を切り落としていった。

Aの稽古のおかげか冷気をくらっても耐性がつき攻撃を続けられた。




俺は弱い。

でも罪を背負ったからここまで来れた。

守りたいものがあるからここまで来れた。



｢ 全集中・氷の呼吸 黒雷刃(こくらいじん) 氷狼霜時雨(ひょうろうしもしぐれ) ｣



ありがとう。カナエ、しのぶ。



｢ああああああ！！！！｣



ビリッ！！！ゴォォォ！！！！！

炎のように刀に纏う荒れる氷と黒い雷で、

一気に童磨の頸を斬り落とした。

ザァンッ！！！！

童磨の頸は宙を舞い、ボトッと地に落ちる。

細かい氷の雨がゆっくり降り注いだ。


｢やっ、た…。やっと……｣


カナヲは涙を流して安心したように座り込む。


｢これでしのぶ姉さんは……！｣


カナヲは｢はっ！｣としてAを見る。

様子がおかしい。

膝を着いた状態で前を向いていた。

血がポタポタとこぼれ落ちるのに気づき、急いでそばによる。

見てみると、お腹から血が出ていた。


｢はぁぁ………はぁぁ……｣


童磨の頸を斬る時に打撃攻撃を全身にくらっていた。

特に腹、それも直径15センチほど。

内臓が傷つき肋が折れている。

頭からも血が流れており、全身打撲状態だ。



バンッ！！！



勢いよく目の前の扉が開くと軽く傷を負ったしのぶがいた。





｢し、、、のぶ……………｣





君は今、どんな顔をしているんだろう。

あなたの笑顔→←もう誰も……

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