殺してください 弐【胡蝶しのぶ】

なんでだろう ページ40

｢……？｣


目が覚めると蝶屋敷にいた。

攻撃が思いきりみぞおちに入って気絶したんだ。


｢Aさん！大丈夫ですか？｣

｢がははっ！！俺はやったぞ！勝ったぞ！｣

｢Aさんは他のことを考えてたんだよ｣

｢それでも勝ったね！！｣


｢ごめん。

伊之助は合格でいい。炭治郎はまだ続けるよ｣


｢よっしゃぁ！｣

｢でももう大丈夫なんですか？｣

｢大丈夫だよ｣


布団から出て服を脱ぐと、アオイが来た。


｢！？更衣室で着替えてください！｣


勢いで言われてつい怖気づいた。


｢その前にこの薬を両脇腹に塗りますから、

服を脱いだそのままの状態で座っていて下さい｣


｢がははっ！チビに怖気づいたか氷野郎！｣


伊之助は乱暴にアオイの背中を叩くと嫌そうにしていた。


｢伊之助君も！また勝手に天ぷら食べて…！｣

｢あれ俺のだろ！｣

｢しのぶ様の食事です！｣

｢なんで昼過ぎてんのに食ってねーんだ！｣

｢貴方には関係ないでしょう！｣


体調が優れないのかな。

毒もようやく体全身行き渡ったってことか。


｢薬塗りますよ｣


脇腹に冷たい手が当たる。


｢冷たいな｣

｢先程まで洗濯物をしていたものですから｣

｢冷やさないように手袋つけなよ｣

｢お気遣いありがとうございます｣


｢あら｣


扉の方から声が聞こえた。

Aはそっぽを向く。


｢しのぶ！！俺様が獣の呼吸でこいつ気絶させたんだぜ！｣

｢Aさんは考え事してたんだよ｣

｢でも勝ったから俺の勝ち！｣

｢伊之助君らしいです。それでまんまと攻撃をくらったと？｣


しのぶはAに視線を向けた。


｢アオイ。ありがとう｣

｢え？あ、いえ｣

｢着替えてくる｣

｢…｣

｢しのぶ様。買い物に行ってきます｣

｢？？俺は特訓だァァァ！｣


アオイはしのぶを無視したAに驚いていた。

伊之助は理解できないから目の前のことに集中した。

2人がでていくと炭治郎はしのぶと2人きりだった。

その時炭治郎は困ったような顔をしていた。


｢しのぶさん｣

｢はい｣

｢Aさんから辛い匂いがしました｣

｢辛い？｣

｢俺には何があったかわかりませんけど｣


炭治郎はその原因がしのぶだと気づいている。



｢炭治郎君は鋭いですね｣





その時のしのぶの目は、笑っていなかった。

本当のきもち→←なりたかった

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す