殺してください 弐【胡蝶しのぶ】

誰も来ない？ ページ35

｢柱が7人もいると心強いですね｣


冨岡としのぶは参加していないらしい。

しのぶの理由はわかる。どうせ薬の開発だろ。

冨岡はわからない。


｢風柱様が無限打ち込み稽古をしています｣

｢なら俺は呼吸の稽古にしよう｣

｢全集中・常中なら初日に会得させられたそうですよ？｣

｢違うよ｣


といっても、1ヶ月間誰も来なかった。

俺の稽古は応用だから、皆の稽古終わったあとがいいんだけど。


一番最初に来るのは誰かな。


ガラッ


｢よう、間宮ァ｣

｢不死川。何しに来たんだ｣

｢お前の稽古を見に来たんだよ。誰もいねぇな｣

｢悲鳴嶼さんの稽古の後だからな｣

｢どんな稽古なんだよ？｣


｢呼吸を使う稽古。ルールは簡単。

一度に二回以上呼吸を使って俺に攻撃するだけ｣


｢柱ならともかくあいつらには…｣

｢今までの稽古で体力はつけたはず。これは基礎の応用だ｣

｢なるほどなァ。ここに玄弥が来たら頼んだ｣

｢誰だ｣

｢呼吸を使わない隊士｣

｢そういう人もいるんだな｣


不死川はすぐに出ていった。


｢…しのぶ｣


会いたい。

今はどこにいるんだろう。蝶屋敷にはいなかった。

研究所が建設されてるのかな。


｢しのぶはいねぇよ｣


気づくと桐生が壁に背中をつけて立っていた。

しのぶのことになると周りを見れなくなる。


｢どこにいるかもわかんない。教えてくれない｣


桐生はずっと下を向いていた。

ていうかなんでここにいるんだ。


｢稽古はどこまでやったんだ｣


｢悲鳴嶼さんのとこ今やってる。

でもあんな大きな岩一町先まで動かせねぇよ｣


｢しのぶのためなら頑張れるだろ｣

｢！｣

｢はやく行ってこい。俺はここで待つ｣

｢ちっ！かっこつけんなよ｣


桐生は嫌々な顔をしながらも氷屋敷を後にした。

そして俺はまた1人になった。

1ヶ月経ってもまだ来ないってどういうことだよ。

どれだけ隊士は貧弱なんだろう。


そして今日が終わった。


夜はずっと屋敷に篭っていようと思ったけど散歩した。

向かった先は蝶屋敷だ。


｢…｣


流石に門外まで出ることは無いか。


ツンツン


｢？｣

｢こんばんは｣

｢なっ！？なんで…｣

｢何故って、ここは私の屋敷ですよ｣



君と話すのは1ヶ月ぶりだった。

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