殺してください 弐【胡蝶しのぶ】

伊之助と稽古 ページ23

蝶屋敷


中に入ると騒がしく、その声の場に向かうと複数人がいた。

カナヲ、きよ、すみ、なほ、善逸、伊之助、それに……。


｢後藤さん？｣


俺が声をかけると、皆こっちを向いた。


｢こ、氷柱様ぁ！？｣


後藤さんはすごい焦っていた。


｢鬼殺隊じゃないから、そんなふうに呼ばなくていいよ｣

｢えっと、間宮さん｣

｢感謝したいんだ｣

｢え？｣

｢1年前、惚れ薬の抗生剤をくれただろう。役に立ったよ｣

｢え！あ！え！？ほんとですか！よかったです！｣


｢Aさん…！｣

｢炭治郎。大丈夫？｣

｢はい。Aさんこそ平気なんですか？｣

｢1週間もあれば回復するよ｣


｢化け物…｣


善逸の声が聞こえて声をかける。


｢善逸はもう平気？｣

｢はい｣

｢伊之助は元気だな｣

｢平気に決まってんだろ！なめてんのかコラ！｣


コンコンと壁を叩く音がして目を向けた。


｢元気そうですね｣


しのぶに会うのは3週間ぶりだ。

少し痩せたな。


｢しのぶさん！｣


Aはしのぶと炭治郎が話している最中に部屋を抜け出す。


｢…｣


玄関に行くと伊之助がいた。


｢俺と勝負しやがれ！｣

｢いいよ｣

｢ここの道場でやるぞ！｣


久しぶりに稽古もいい。

それに伊之助は前とは違う。

成長した。


｢いくぜえええ！！｣

｢手加減しないからな｣

｢来いや！｣


1分後


｢ぎぃぃぃ！｣


伊之助は倒れていた。


｢ぐぞぉぉ！まだまだァ！｣


2時間後、伊之助は仰向けで倒れていた。


｢んだコイツ！呼吸使ってねぇのに！！｣

｢もう行くよ｣

｢俺が勝つまで帰らせねぇ！｣

｢一生無理だな｣


｢獣の呼吸 玖ノ牙 伸・うねり裂き!!!｣


腕の関節を外して斬撃を浴びせる技。


｢！｣


なにこれ、すご。

避けても避けても次々と攻撃がくる。


｢1番強い呼吸使いやがれェ！！｣



｢……氷の呼吸 玖ノ型 流れ氷斬｣



流れるように攻撃を捌き、至近距離で複数斬撃を入れる。



｢1番強い呼吸は鬼に使う。

人間にはそれが似合いだよ｣


伊之助は固まったまま動けなかった。


｢もう日が暮れるから帰るよ｣


道場から出て玄関を出ると、庭にしのぶがいた。

蝶と戯れている姿に見入っていると気づかれた。



｢あら、稽古でもしていたんですか？

服がよれていますよ｣

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