まほうつかい【泉田莇】 (ページ5)

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夏祭り前夜。

特に何もすることがなかったからのんびり過ごしていると、LIMEの通知がきた。

A浴衣、どっちがいいとおもう?

同時に2枚の画像が送られてくる。
ピンクの浴衣と、白の浴衣。

Aなんだからどっちも似合うだろって思うけど。

莇白がいい
A白ね!ありがとう

Aから、可愛らしいうさぎのスタンプが送られてくると、俺はLIMEの画面を閉じてベッドに潜り込んだ。

明日の夏祭りは九門と行く。
なんかすっげえ誘われたから、仕方なく。

正直誰とも行くつもりはなかった。
Aと会うことが怖かったから。

「……はぁ」

何でこんな事になっちまうんだよ

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そして夏祭り当日。
猛暑なのにも関わらず、多くの人が浴衣を来て歩いていた。

「なー！莇！！オレかき氷食いたい！！」

「勝手に買ってこいよ……」

はしゃいで屋台をまわる九門を遠目に、俺は屋台の近くの木にもたれていた。

カップルや友人同士で来てる人もいる。

すると、聞きなれた声が俺の名前を呼んだ。

「あ！あーちゃんだ！！」

振り向くと白の浴衣を着た、いつもより大人っぽいAがいた。

その隣には、Aと同じクラスのやつ。

「あーちゃんが白がいいっていうから白にした！どう？」

「似合ってんじゃねーの」

「ふふ、やったー！」

嬉しそうに笑うAを見て、ふと思う。

メイク、上手くなったな。

俺の出番はもう無さそうだ。

「あーちゃん、今1人なの？」

「あぁ。今連れがかき氷買ってる」

「そっかそっか！じゃあ、私たちは行くね！」

ひらひらと手を振るAに軽く手を振ると、Aはクラスのやつにぴったりとくっつく。

胸が苦しくなった。