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【魔法をかけて】から【魔法を教えて】に変わった今日。
俺はAの家でメイクを教えていた。
Aは覚えるのが早いから教えやすい。
「どう?あーちゃん。綺麗に出来てるかな」
「……できてる」
「本当!?あーちゃんに褒められたら本物だ!」
喜んでいるAを横目に、ぐっと考え込む。
嬉しい、悲しい。2つの感情が俺の中で渦巻いている。
ふと、昨日のAを思い出した。
『あのね、あーちゃん。明日、私に魔法を教えて欲しいの』
あの時の目は、いつもと違う目だった。
まるで、誰かを想っているような目。
「…………まさかな」
「あーちゃん?どうしたの」
「……なんにも。
そう、いえばさ。なんでメイクを教えろ なんて言ったんだ?」
俺がそう聞くと、Aは顔を紅くしながら俯いた。
……こういう時の予感はだいたい当たる。
「……あ、あーちゃんだから言うね。」
来る。
「…………す、好きな人がいるの。」
やっぱり。
「同じクラスの子なんだけど、その…来週遊ばないかって誘われて…それで____」
「_______良かったな。」
「……あーちゃん?」
わざとAの言葉を遮るように、思ってもない事を言葉にする。
恋愛とは無縁だったAが、今頑張ろうとしている。
応援したいのに。
……応援したいのに
「……………………頑張れよ」
心の中では素直に応援できなかった。
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蒸田。(むしだ)(プロフ) - みづきちさん» コメントありがとうございます! (2019年5月3日 1時) (レス) id: f91a58f64c (このIDを非表示/違反報告)
みづきち(プロフ) - 泣いた、、、 (2019年5月1日 8時) (レス) id: 7d65f01594 (このIDを非表示/違反報告)
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