私の好きなチョン君。 ページ1
*
放課後の保健室。
私は一人である人に会いたくて向かう。
ｶﾞﾗｶﾞﾗ＿＿＿＿＿
鼻にツンっとくる保健室独特の消毒の匂い。
奥に進むとベッドが二つ。
一つは誰も居ない。
そしてもう一つはカーテンが閉まっていて。
『……んっ……チョン君……っ……』
あぁ……
この声を聞いてこんな風に胸が苦しくなるのは何度目だろう……
カーテン一枚越しに艶っぽい声でチョン君と呼ぶ女の子の声。
このカーテン一枚越しに何かが行われているなんて分かってる。
……だっていつもの事だから。
耳を塞ぎながら保健室の外に出て扉の横でしゃがみ込んで待つ。
***
数十分するとガラッと保険の扉が開いて、
『んー、凄く良かった。じゃあまたねチョン君。』
さっきのベッドでチョン君の名前を呼んでいた女の子がリボンを付けながらそう言って出て来た。
……また違う女の子。
しかも凄く可愛くてスタイル良くて美人。
保健室に居るチョン君に会いに来るといつも決まって違う女の子が居る。
完全に女の子が居なくなってから私は再び保健室に足を踏み入れる。
そしてさっきのベッドに近づいて閉まっているカーテンを開けた。
「チョン君。」
私が会いたくて会いたくて仕方が無かった人の名前を呼ぶ。
はだけた制服を直さずに眠るそんな姿にいつもドキドキする。
JK「……」
「ねぇ、チョン君。起きてるんでしょ？」
いつも私が来ると寝た振りばっか。
「チョン君。」
また更にベッドに近づいて眠っているチョン君の顔の近くで呼んでみると、
JK「……そーだね起きてるよ。」
気だるげな表情で私を見つめるこの瞳が何か好き。
「起きてるならすぐ返事してくれればいいのに。」
JK「何か……Aが顔近づけて名前呼んでくれるの好き。」
「意味わかんないよ。」
フッと笑ったこの笑みも好き。
***
「ねぇ、チョン君。」
JK「……何？」
「……何でも無い。」
JK「何それ。」
これもいつもの会話。
本当は聞きたい事沢山あるんだよ。
さっきのあの子誰とか……
彼女なのとか……
どうしていつも違う女の子が居るのとか……
今までずっと聞きたくても聞けない。
だって……
きっと聞いたらチョン君が嫌がるから。
これは何となく私の直感。
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：未夢. | 作成日時：2017年11月13日 14時
