ひたすら毒素の詰め合わせ【wrwrd!】

４、訣別（クトゥルフ傀逅パロ、ネタバレ注意） ページ10

・クトゥルフ『傀逅』の毒素バージョンの妄想。
・ネタバレ注意、必ず視聴して感動してから閲覧してください。
・傀逅は素晴らしかった。


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荒廃した町の中。悲鳴、怒号、困惑に崩れる人々の姿の中に二つの化け物が立っていた。
片方は血を流し、片方は意識もほぼない。
だが、二つは確かに互いを睨み合い、手の中にある筒状のものを消して離さないと言いたげに握りしめていた。



「なんで、なんでお前は。……大切な人を守るって言ってたやないか！！！」



叫ぶ黒髪の男と対になるように立っている男はぼんやりとした、ほとんど理性の磨り減った疲れた目をしながらも、黒髪の男を睨みつけている。まるでそれだけが最後の使命であるかのように。



「大切なものは、もうない。なにも、なくなってしまった」



虚ろな目は黒髪の男を睨み続ける。黒髪の男はそれに応えようと目をそらすことはない。彼の言葉の通り、彼の大切なものはもうとっくに壊れてしまったと背後の倒壊したビルを思い出す。
金髪の男は手の中の筒状のものを握りながらその拳を黒髪の男の方へと向けた。

言わずともわかる、彼は本気だ。
本気で俺を倒そうとしている。
自らのために、何かのために。



「……わかった。俺も本気でお前を倒す」



同じように黒髪の男も拳を突き出した。
互いに筒状のものを持っている方と逆の手に突き刺す。慣れた激痛と力。最初にこの力を得た時はどれほど恐ろしく、そしてどれほど興奮したことか。隣にいた彼とともに大切なものを守るために見るに耐えない化け物と対峙してきた記憶が呼び起こされる。
そんな彼と死闘を行う現実を噛み締める。



「『コンバッション』＿＿＿＿変身」

「『ハリケーン』＿＿＿＿変身」



互いの体が人間らしい姿をなくしていく。
金髪の男は風のなびく仮面のつけたものへ、黒髪の男は灼熱の炎を纏ったものへと変わる。その力も声も姿も人とは違う。だが、その意思だけは人らしく縋り踠き守り続けてきた。



「全力で行くぞ！」



灼熱の炎がその拳を握る。
吹き荒れる風はどこか楽しげに笑みを浮かべながらそこに正面から向かっていった。





嗚呼、とっても滑稽で、馬鹿みたいだ。
誰かが不毛な争いを前にひとつ指を鳴らした。
どちらが勝っても変わらない。全てを滅ぼす邪神の卵がその時、パキリと音を立てた。



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(何かの理由で対立する毒素)

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