われわれゆっくり研究班！【wrwrd!】 (ページ7)

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保護対象１- aの発見ページ7

Ｗ国の西側に位置する国との外交は実に申し分なく終了した。元より友好的な関係を築いてきたその国に対して外交で無礼を見せるなど万に一つもないのだがそれでも問題なく終了し自国に帰れることに安心するのは周りの護衛担当の兵士も同じことであったようだ。外交官オスマンと共に外交先の国を見て回った後のことだった。そろそろ自国に返らないと怒る奴がいるから、と外交先の国の首に別れを告げた時であった。
荒れ果てた大地。戦の傷跡。未だ手入れもされていないその場所に首は、お恥ずかしい、と頭を掻いた。戦場跡地が野ざらしになっているところなんて珍しいと俺がその地に踏み込めば何かが違う違和感がふと風となって吹いた。それの意味に気づいたのは、少し後のことだった。荒廃したその大地の中心にポツンと違う色が点描されてある。土塊の薄茶と血を吸い込んだ赤黒の地面。広く高い空の青と流れる無垢な雲の白。町の賑わう声も届かないような、孤独でありながら凛々しいようなその姿に、人とはいえないその物体になぜかひどく、心が惹かれた。

「なんだ……これは…」

しゃがみこんでその姿をよく見つめた。風に揺れた金髪はきめ細かく糸のように細く伸び陽光を浴びてさらにその色を強めている。風にゆるく靡きながら振り子時計のように一定に揺れる触覚に似た髪を目で追う。俺は手を伸ばした。するとその気配に気づいたようにその物体は動いた。胴体のないその物体は飛び上がるようにして振り向き俺を見つけた。眼鏡をかけ黒の瞳を凛と澄ませるその顔はなんだか幼い頃の俺とそっくりな気がして咄嗟に手を引いた。似ているだけで違うのだが俺が手を引いた時のやや得意げな笑い顔が妙に残っていて頬を引っ張ってやると変な声を出して怒ったように跳ねた。その時俺は突飛なことを思いついてしまった。

「ははっ、面白いなお前。
なぁ………俺と一緒に来るか？」

「ゆっ！」

飛んで肯定するその物体を持ち上げると後ろから何してるめう、とオスマンが覗き込んだ。その物体を見て驚く声を聞きながら振り向いて、何持ってるんですか、と慌てる兵をよそに俺はその物体を、否、面白い仲間を見せて笑った。

「俺たちの新しい仲間だ！」

驚く兵の声の合唱。本当にと聞く外交官の楽しそうな声。肯定の俺の揺るぎない声。そして腕の中のひときわ楽しそうな、一言だけの声。
そうして、不思議な日々が幕を開けたのだった。