48 -Sho side- ページ7
翔「……お前、最っ低だな」
ユ「私は何もしてませんけど？」
Aが帰ってしまい、俺は久々にブチ切れた｡
翔「なんでマンションの場所知ってんだよ」
ユ「お手伝いのサエコさんが教えてくれたの」
翔「はぁ…あいつも余計なことしてくれるな」
サエコさんは、俺の母親代わりみたいな人で、ずっと俺を育ててくれた人だけど、時々余計なお世話をしてくれる。
ユ「そのくらいだったのよ、彼女が翔さんを想う気持ちなんて」
そう言われると、何も返す言葉がない。
だって、20年も放っておいて今さら好きだなんて、そんなの通用するはずがない。
ユ「私のほうが彼女の何倍も翔さんのこと好きだよ？」
翔「お前とりあえず帰れ」
ユ「帰れってどこに？」
翔「金ならいくらでも持ってんだろ？その辺のホテルにでも泊まれよ」
ユ「久々に会ったのに…相変わらず酷いよね、翔さんは」
翔「あ、言っとくけど、俺はお前がいくら整形して綺麗になろうと一生好きになることはないから」
ユ「はいはい、わかってます、もう耳にタコです」
俺はユウナが帰っていくのを見届けると、急いでタクシーを拾い、Aの家に向かった。
でも、Aは家にはいなかった。
翔「くっそ、どこにいんだよ…」
俺は、家に行けば会えるだろうと思っていた自分を恨んだ。
あの時、すぐに追いかければ間に合ったかもしれないのに…。
その後も毎日家に向かったけど、ずっとAの部屋は無人で、しんと静まり返っていた。
ちゃんとAがいた形跡があるのに。
今だって、何事もなかったかのように、ただいまって帰ってきそうなのに。
決して帰ってくることはなかった。
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作者名：はつる | 作成日時：2017年2月17日 19時
