＊ ページ28
それなりに酔いが回って、いつもだったら喉の奥で突っかかる言葉も今日は簡単に飛び出すからお酒の力ってすごい
貴｢爆豪ん家で飲み直そ｣
爆｢やだわ｣
貴｢いーじゃん｣
これで帰れ、と万札を手渡して自分はとっとと拾ったタクシーに乗り込もうとするから
私も無理やり乗り込んで｢この人と同じところで｣と運転手に伝えてやった
テメェ、と怒られたけどそんなのは今更お構い無しだ
爆豪の家までタクシーで20分くらいだろうか
黙ったままの車内で、思考が冷静になってくると彼女持ちの人に凄いことしてるな、と我に返る
今日が終わったらいよいよ爆豪との恋も終わりだなぁ、いや、人の彼氏にちょっかい出すなんて人間として終わりか
なんて車窓から月を見てぼんやり考えてたら爆豪が口を開いた
爆｢慰めてもらおうってんなら他当たれ｣
貴｢は？｣
予期しない会話すぎて間抜けな返事をしてまった
爆｢男と別れて寂しさ埋めてぇんだろ
俺は加担しねぇつっとんだ｣
爆豪ってこういう所は不器用だ
あんなに才能マンと謳われているのがアホらしくなる
まあ、私の嘘が原因でややこしい事になっているのだけれど
貴｢別にそんなんじゃない
ふつーに爆豪と飲みたいだけ｣
爆豪の方に向き直してそう言うと、目も合わさずに｢勝手にしろ｣と言われてしまった
冷たくは突き放すものの、爆豪宅に着けばなんの躊躇もなく家にあげてくれるし、相変わらず美味しい酒の肴も作ってくれるから
隣に座ってテレビに視線を向ける爆豪を見てやっぱ好きだなぁ、と思ってしまう
爆｢そろそろ帰れ｣
貴｢やだ｣
濁点の付くような返事で私を睨んだ爆豪は飲んだ缶たちを手に、片付けを始めてしまうからどうしようかと考える
どうせ今日で終わるくらいなら、できる限り足掻きたい
貴｢泊めてよ｣
爆｢無理に決まってんだろ｣
貴｢なんでよ、いーじゃん別に｣
良くねぇ、とため息を吐いた爆豪は動かしていた手を止めて漸くこちらを見てくれた
今日を逃したらもうないし、ここぞとばかりに私は爆豪の方へと身を乗り出した
爆豪のTシャツの袖を引いて｢帰りたくない｣と言った声は普段より少し甘ったるかった
その直後の一瞬で、ギラついた爆豪の赤い瞳とバッチリ目が合って
爆豪は持っていたゴミ袋を手放して私を引き寄せるから、カランコロンと缶がぶつかる音が部屋に響いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜羽(プロフ) - ゆうさん» 本誌、読んでおります…！なるべくネタバレには気を張ってるんですが、ヒーローチップスは触れたくなっちゃいました…。 (2022年10月11日 2時) (
レス) @page47 id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - ヒーローチップス好きすぎる、、、もしや本誌よんでます？？ (2022年10月10日 23時) (レス) @page46 id: fe7b1d6009 (このIDを非表示/違反報告)
桜羽(プロフ) - ゆうさん» こちらこそコメントいただき、当作品を見つけてくださりありがとうございます…！少しでも楽しんでいただければ幸いです。 (2022年9月27日 0時) (レス) id: 1960f228ce (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - 短編集みたいなのがありそうであんまりないので嬉しいです!ありがとうございます!! (2022年9月14日 23時) (レス) @page36 id: 43275f8478 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜羽 | 作成日時：2022年7月14日 23時
