両面宿儺の所有物

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聞き間違え、聞き間違えだと分かっている。
けれど頭が混乱する中で微かなながらに聞こえた声。

｢宿儺、さま…？｣

その声に我に返ったのか目を見開いている。
私は今この聞き間違えであろうものでももう一度と開こうとした口は閉ざされる。

先程よりも激しくなったことにより私の頭は回らなくなり時間をより掛けられてしまったためか気づけば眠っていたようだ。
日差しで目を開けると隣には宿儺様が私を抱き寄せて眠っている。

｢…聞き、間違えなんでしょうねきっと｣

そう独り言を呟いて私は彼の額に己のものを合わせる。
馬鹿だななんて自分の立場を改めて理解しながらまたまぶたを閉じた。

私がいくら愛を囁こうと彼にとって私は所有物でしかない。
期待しすぎていた自分が恥ずかしい。

こうしているのも幸せなはずなのに期待をふくらませてしまった分心が痛かった。


__きっと後悔する
これは愛情でもなんでもないんだよ


いつしかの言葉が頭によぎる。
違う、そんなのどうでもいいんだ。
私は彼の傍に居られれば


そう思っていたはずなのに心のどこかで宿儺様が私に愛情を持ってくれるのではないかと思ってしまった。
それを望んでしまった。

たかが所有物に過ぎない私なんかが


いつの間にかその目からは涙が溢れていた。
宿儺様についてはいけないとすぐに拭き取るが溢れて仕方がなくなる。


私はどうなりたかったの？
宿儺様の隣にずっと居続けること？

いいやきっと違う。

私は出会った時から期待していたんだ。
私を少しでも必要としてくれる彼に愛されたかったんだ。


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