両面宿儺の所有物

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「あーあ、抱き寄せちゃっておあついね」

「な、違うこれは！」

そこには目の前の彼を含めてもう一人人がいた。
そんな彼は私を見るなり可愛いとだけ伝えれば近くに歩みよってくる。

「こんな子を村の人達はあーだこーだ言ってたわけ？
信じられないって、なあ」

「だからもうやめろって！」

そんな言い合いを始めるふたりはやがて収まりここへ連れてきた彼は俺のこと覚えてる？と問われ私は頷いた。
しかし不思議なものでもう名前を忘れてしまったことを伝えると彼は眉をひそめてから私に笑顔を向けると自己紹介をした。

「俺は犬養 空源(いぬかい くうげん)
こっちは…」

「僕は野呂 順之助(のろ じゅんのすけ)、よろしくA
本当に可愛い顔してるね！」

そう言われるが私にはどうでもよかった。
家に帰してとだけ伝えれば二人は顔を見合わせご飯にしようとなど関係の無いことを言い合い空源と名乗った人は調理場へと足を運ぶ。
もう一人、順之助は私が逃げないための監視なのかずっと隣で笑っていた。

「ねぇ、僕君ともっとお話したいんだ」

「私は早く彼の元へと帰りたい
帰してくれませんか」

「そんな冷たいこと言わないでさ」

ね？と私の顔を覗いてくる彼に嫌気がさす。
私は宿儺様のことを考えながら彼の言葉を全て無視していた。
隙があろうものなら抜け出してたいものだが生憎立ち上がろうとすれば順之助に手を引かれてしまう。

「手も綺麗だね」

「離してください…」

そう言って触れる手を払い、私はため息をついた。
やがて出来たよと私の目の前には出来上がった食が置かれて食べて食べてと微笑まれる。


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