第45話 ページ6
『だからね、スガ』
うつむいていたAがゆっくり顔を上げて、俺を見る。
『……巻き込ませない為に、君に御守りを渡そうと思うんだ』
「御守り?」
『うん。最初は蛇を贈ろうかと思ったけど…それじゃスガの体が耐えられないからさ』
「えっ!?そんなヤワに見えるか……?俺、これでも結構鍛えてる方なんだけど」
ちょっとショックだったからそういうと、Aは可笑しそうにクスクス笑った。
それから、違う、と言って俺に説明しだす。
『蛇は人の体に命の代わりに入る存在だから……命がある状態で蛇が体に入ると、拒絶反応がでて最悪死ぬんだよね。対処が早ければ大丈夫だけど』
「……でも、Aは確か2匹以上いる筈だろ?」
『平たく言えば僕は特殊体質なんだ。
生まれつき持ってる蛇がいるから、なんていうのかな……遺伝?なのかも』
「へぇ……」
生まれつき体の中に蛇がいるのって負担じゃなかったのか?
能力の使いすぎで倒れることもあるらしいし。
そんな疑問を抱きつつ、俺はAに向き直る。
『これが御守り。絶対、肌身放さないで持っててね?』
「おう」
渡された御守りは長方形のペンダントトップだった。何か……紐かチェーンにつけて首にかけておけばいいか。
何気なく掌で転がしてじっと見つめる。
気がつくといつの間にかそばに来ていたAが俺の手を自分の手で包み込んでギュッと握る。
「A……!?」
『君を守らせて』
『お願い』
握られた掌から伝わる、熱と、力強さが、
「A」
空いているもう片方の手でAの頭を撫でた。
「俺を守って?」
君の思いと同じなら。
守られる、なんてかっこわるいけど。
『うんっ……!約束する』
だからずっと、その笑顔が続けばいい。
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作者名:ラディ | 作成日時:2018年3月30日 14時