第79話 ページ42
『これだよ』
そう言ってAが差し出したのは振り子がついている置き時計だった。
「これが?」
どこがおかしいのかと、俺は時計を観察する。
特におかしいところは無いような……
あ。
「これ、文字盤がおかしいな。
それと……針が回るのが速くないか?」
文字盤の数字の配列はぐちゃぐちゃで、時計の長針は通常の数倍の速さで回っていた。
『そう。これが、カゲロウデイズの仕組みの1つ。
って言っても、他のやつは全部壊したけどね。
……あとはこいつを』
そう言ってAは時計を俺から取って、
おもいっきり振りかぶったかと思うと、あろうことか【醒ます】を使って床に叩きつけた。
「ちょっ…………A!?」
慌てて時計を拾い上げる。
Aは顔をしかめて溜め息をついた。
拾い上げた時計は傷ひとつついていない。
【醒ます】の力が加わったのに……。
『これがさぁ、何やっても壊れないんだよね。
これを壊せるやつは天才だよ?
いや、マジで』
「…………」
『ねぇ、スガ。
僕、結構君のこと好きだよ』
「……へっ、え、えぇ!?」
俯いているから表情はわからない。
けれど、Aの声は震えていた。
『例えば、笑顔。
君の笑った顔を見てるとさ、なーんか悩みが吹き飛んじゃうんだよね。
例えば、周りをちゃんと見ているとこ。
日向とか、後輩の面倒みたりアドバイスしたり、みんなが欲しい物をちゃんとわかってる。
例えば、優しいとこ。
いつだって周りを気遣って、誰かが困っていたら手を差しのべている。なんだか神様みたいだね。
勝手に入れたメカクシ団で、ついていけないことばっかりだっただろうに、
直ぐに君は呑み込んで、理解して、打ち解けたよね。
……なんかね、ここに来てからそんなことばっかり考えるんだよね。
走馬灯ってやつ?そろそろ本当に僕は……』
次々と褒められて照れていたら、そんなことを言うから。
その続きは何が何でも言わせたくないな。
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作者名:ベルリラR* | 作成日時:2017年6月12日 16時