無気力なメカクシ団No.13の少女は烏野高校３年生なのです← if 【ハイキュー!!】【カゲプロ】 (ページ36)

今日:19 hit、昨日:1 hit、合計:9,471 hit

第７４話ページ36

「そんな……何か方法はないんスか！？」

「あるといえばある。
ま、成功率は著しく低いがな」

俯いたままだった顔をゆっくり上げる。
見いだされた一筋の希望に、誰もが喜びの色を見せた。

「それってどんな方法なの？」

「……ここに、小娘が回収しなかった蛇がある。
そいつを体に降ろし、精神体になってカゲロウデイズに干渉する」

そう言って見せられたのは、１匹の白い蛇__【目を魅せる】

「っ！？……その蛇は」

「そうだ。あいつが１度だけ"写した"ことのある蛇でな。
今その能力を持ってして、小娘を止めている。
……それほど長くはもたないが。

それで？誰が行くのだ？
いつ死んでも可笑しくない、あのセカイに」

誰も何も言わなかった。
Aを救える、その希望の中には自らの死が絡んでいるかもしれないからだ。

迂闊に進み出れば、現在(いま)を、生を捨てることになる。

……けれど、それでも俺は。

「俺が行く。
ていうか、俺にやらせてください」

みんなが驚くように目を見開いて俺を見る。
……信じられないって顔してる。
俺にとっては当たり前のことなんだけどなぁ。

「あ、危ないよ！」

「そうだよ、確かにAを助けたい気持ちはわかるけど……
でも、だからって！「カノ」………っ！」

途中でカノの言葉を遮る。
俺だって、死にたい訳じゃない。

でもさ、

「あいつは……Aはさ、今独りなんだよ。
蛇はいるけど、意思の疎通もできるけど、でもあいつはひとりぼっちなんだ」

学校で見る、眠そうな、無気力な顔。
あの時見た、瞳の奥の恐怖と暗闇。
それを振り払うような、笑顔。

なんだかんだ人をほっとかない、遠回りなお人好し。
そんな君が何よりも誰よりも好きだから。

「だからさ、俺が行ってそばにいたいんだ」