青い龍と姫君《 A BLUE DORAGON スピンオフ》 (ページ10)

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卒業《6》 “姫君の始まり” 翔side ページ10

で、本題の姫君の話に入るんだけど。

もともと姫君は
STORMSが創られるきっかけとなった
龍之介さんの妹、青山椿さんのことを
幹部以下が敬いを込めてそう呼んでた。

栗「椿さんって、さっきの？」

翔「そう、Aちゃんを連れてった人」

栗「えっ！？嘘！？」

翔「本当(笑) 」

栗「たしかに綺麗だったな…
姫君って呼ばれるだけある…」

翔「あの、話の続きしてもいいかな？」

栗「あっ！ごめんなさい！」

翔「じゃ、続けるね」

椿さんは龍之介さんを“兄貴”と慕ってた
のちの2代目青龍になる
一ノ瀬柊吾さんと付き合ってて。

で、柊吾さんが青龍になった時に
“姫君”って呼ばれてた椿さんが
青龍のオンナになって、

翔「それ以降、
青龍の彼女が姫君と呼ばれるようになって
今に至るって訳です。」

智「よくそんな話覚えてんね。」

翔「おわっ、智くん…
って覚えてなかったの？この伝説的な話」

智「そんなん覚えるくらいだったら
寝てるか喧嘩してんね」

翔「…怖えよ…それをここで
その声の大きさで言える智くんが…」

栗「あの…、それで伝統行事って…？」

翔「あぁ、ごめんごめん。」

2代目の柊吾さんが引退する時。

“青龍は大々的な引き継ぎをするのに対して
それを支えた姫君に何もないのはおかしい”と

初代青龍である龍之介さんが
スタイリストだったお母さんに頼んで、
椿さんをサプライズでドレスアップさせて。

柊吾さんは姫君だった証であるネックレスを作って椿さんに送ったことから、
『プリンセスセレモニー』として
代々受け継がれることになった…

雅「って訳です！」

翔「俺のセリフ取んなよ( 笑 )」

和「さすが有名大学医学部合格者ですね～」

潤「なんか授業受けてるみたいだったよな」

栗「すごく、愛が詰まってる…！
いいなぁ～っ」

雅「ねぇ大ちゃん、どんなドレス頼んだの！」

智「見りゃ分かる」

雅「え～っ、待ちきれない！」

和「サイズはどうやって？」

智「やることやってるから」

雅「えっそうなの！？」

潤「ちょっと、くれはちゃんいるから( 笑 )」

翔「大丈夫そうだよ、別の世界に行ってるみたい」

と、わちゃわちゃと雑談していたら。

キィーッと2階の扉が開いて。

椿「はぁい、みんなお待たせしました！
プリンセス、完成しましたよ～！」

と、初代姫君…椿さん独特の高い声が
倉庫の中に響いた。