青い龍と姫君《 A BLUE DORAGON スピンオフ》 (ページ14)

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卒業《10》ページ14

階段を降りる直前で、
とっくについていた智くんが
私の方に伸ばす。

それを見て、
まるで特攻服を着た王子様だと思った。

椿さんから手を離して、
智くんの手を掴む。

気をつけて、と気遣う言葉を聞いて。

カッコいい、と言いかけて慌てて抑える。

その一方で。

智「綺麗だよ。」

と、歩いている私の耳に
斜め上から
ストレートな褒め言葉が聞こえた。

思わず、智くんを見たら
さっき見た微笑みが、私を見返す。

「…なに？その顔。」

智「俺、そんな変な顔してる？」

「ううん。
でも、なんか見慣れない。」

智「こんな顔にさせてるの
Aだから。」

「…どう言う意味？」

智「今、
こんな綺麗な宝物、
俺しか見えないところに
閉じこめたいとか、考えてる。」

智くんは、言葉選びが独特だ。

でも私は、
こんな一歩間違えれば
怖い意味に捉えられる言葉を
嬉しく思っている。

そんな私も、
十分独特なのかもしれない。