卒業 《9》 ページ13
椿「はぁい、みんなお待たせしました！
プリンセス完成しましたよ〜！
扉を開けるやいなや、
そう大声で言う椿さんの背中を見ながら。
“プリンセス”という言葉に、
部屋を出るのを躊躇っていると。
何してるの、ほら！
と椿さんに手を引かれ、
踊り場に連れ出される。
すると、
シン…とわたしの方を向いて
そこにいる全員が固まったように
話をするのをぴたりとやめた。
あの相葉ちゃんでさえ静かなものだから。
変だったら変って言ってくれても…
と私も私でどうすればいいか分からずに俯くと。
潤「いや、可愛いのは分かってたけど…」
と、松潤くんが最初に口を開いた。
翔「ほんとに、プリンセスじゃん…」
栗「すごく、すごく綺麗っ…！」
松潤くんのリアクションに続いて、
驚いたような表情をする櫻井くんの次に。
口に手を当てながら
感動しているようにもとれる声色で、
栗ちゃんが言った。
雅「やばいねっ！和っ！」
和「いやぁ、ほんとに…
さすが大野さんが選んだオンナですね」
すごい勢いでニノの肩を抱く相葉ちゃんと、
それに“痛えって”と
満更でもない表情で言うニノが、
それぞれ感想を口にした。
肝心の智くんはというと。
何も口にせず、私の方を見て。
ただただ、微笑んでいた。
「何か、言ってくれても…」
と、不満を小声で口にすると。
椿「あの子は、口数が少ないから」
とそれを拾った椿さんと目があって、
思わず苦笑いが漏れた。
私が、椿さんの手を借りながら
ゆっくり、ゆっくりと転ばないように
スカートの裾を持ち上げながら
階段を降りると。
それを見た智くんも、
私の方に向かってくるのが見えた。
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作者名：KIRA | 作成日時：2018年11月26日 18時
