卒業 《7》 ページ11
いつもみんなが居た２階に、
今日は見慣れないものがたくさんあった。
鏡や、コテ、メイク道具。
まるでどこかの美容室に来たみたいだ。
椿「はぁい、じゃあここに座って。
先にメイクからやっちゃうよ〜！」
「…あ、はい。」
自然な促し方に、
思わずそのソファに座ってしまう。
多分、この人はプロだと思った。
椿「今、すっぴん？」
「…はい、一応リップは塗ってますけど…」
椿「やっぱりあの子が選ぶだけあるわ、
すっぴんでこの可愛さ！
アタシがもっと可愛くしてあげる！」
「は、はぁ…」
と、私の前髪をピンで止めながら
かき分け美女はニコニコと話を続ける。
椿「智は女の子をとっかえひっかえして、
喧嘩に明け暮れてた子だったの。
青龍になるって聞いた時は
STORMSを潰すんじゃないかって思って
反対だったんだけど…」
と、ふいに鏡越しに私を見て。
椿「アナタが変えたのね、智を。」
と優しく微笑みを浮かべた。
「そんな、大層なこと…」
椿「したのよ？
だってあんなに女の子の話をする智、
初めて見たし。
アタシも溺愛されてた自覚はあるけど、
アナタも相当の溺愛っぷりね。」
「そうなんですか…？」
椿「ええ、だってアタシ、
こう見えて初代青龍の妹で
2代目青龍のオンナだもん。
一応初代姫君なんだから〜」
“改めまして、一ノ瀬椿です。よろしくね？”
と鏡越しにウインクをした。
ということは…だ。
この人は、先輩ということで…
「ご挨拶遅れてすみませんっ！私…！」
椿「いいからそのまま、
青桐Aちゃんでしょう？
久しぶりにSTORMSを大々的に動かした
姫君ちゃん」
「…それを言われると、弱いです…」
椿「もう終わったことだから
気にしないでいいのよ？
って言っても、
多分語り継がれることになると思うけど。」
「そんな、語り継がれるなんて…」
椿「現にアタシがそうでしょう？」
「椿さんは次元が違いますから！」
と、この後もSTORMSバナシに花が咲き。
気づいたら、
一瞬目の前に誰かが座っていると錯覚するくらい、
別人に変身した自分がいた。
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作者名：KIRA | 作成日時：2018年11月26日 18時
