Happy birthday 《1》 ページ1
飾り付け、よし。
ご飯、よし。
ケーキ、よし。
指差しをしながら、部屋の中とキッチンを回って確認をする。
「大丈夫かな、私…」
そして、最後は私。
エプロンを外しながら寝室の電気をつけて、
スタンドミラーで自分を観た。
“彼の誕生日をお祝いしたい。”
そう、友人の栗ちゃんに言ったら。
食いつきが、それはまあ凄くて。
ここ最近、私は栗ちゃんのされるがままだった。
…そうして、完成したのは。
黒髪のロングヘアをちょっと巻いて。
チェックの膝上のタイトスカートを履いて
白のレースがついたタンクトップの上に
ブラウンのカーディガンを着た…私。
“ 着たら絶対に写真を送ること！”
と念押しをされていた私は、
スマホのロックを解除して撮りたてほやほやの写真を送る。
[ こんな感じ ]
と送ったら、
早速写真とメッセージに見た合図がついた。
「早すぎない？」
と、苦笑いでつぶやくと。
手に持ったスマホから着信の合図。
掛けてきた相手は、もちろん…
「もしもし、栗ちゃん？」
栗「ねぇ、可愛すぎない！？」
開口一番そう言った、
声だけで分かるほどテンションが高い栗ちゃん。
「…いますぐ着替えたい。」
栗「だめ、青龍にちゃんと見せて！」
「だって、足がすーすーするんだもん…」
普段はデニムと
今の時期は暖かいニットで済ませている私にとって、
今日の可愛らしい服はハードルが高すぎる。
栗「ねえ、その服もうあげる！」
「え、いいよ。もう着ないと思うし…」
栗「服は、似合う人が着ないとだめ！
それに、そういう服着た方が喜んでくれると思うよ〜青龍は！」
「ほんとに似合ってるのかな、これ…
ていうかさっきから青龍って何回も言ってるけど、
もう青龍じゃないからね、さと…」
ピーンポーン
栗「あ、来たんじゃない！？
報告待ってる！」
“じゃ〜ね〜”
と、栗ちゃんは一方的に通話を切った。
慌ただしいなぁ、と思ったけれど
逆に緊張が解けた。
…栗ちゃんには、わたしの気持ちは何もかもお見通しなのかもしれない。
反応がないことにしびれを切らしたのか、
もう一度チャイムが鳴る。
「はーい。」
少しだけ騒がしい玄関の方に向かって、
私は大きめの返事を返した。
今日は、久しぶりにあの人に会える日だ。
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作者名：KIRA | 作成日時：2018年11月26日 18時
