蝶の舞う日

参話 ページ5

しのぶside





昨日、久しぶりにお会いしたAさん。昔はひ弱で可愛くて弟みたいだったのに、今は背が伸びてたくましい身体で顔もかっこよくなっていた。



久しぶりに会ったのとかっこよくなったAさんを昔のようにAくんと呼ぶのは何故か少しだけ恥ずかしくてついAさんと呼んでしまった。



まあ私も昔とは変わりましたけど、それに気づいたAさんはしのぶちゃんからしのぶと呼び捨てで呼ぶものですから少しドキッとしました。



多分私が少し距離を置いたようにさん付けにしたから呼び捨てにして距離を縮めたのでしょうか。



そういう変に気を遣うところは変わっていないんですね。





アオイ「しのぶ様、包帯と薬が切れてきました。」




しのぶ「今日は暇ですし、私が買い出しに行きますよ」



アオイ「ありがとうございます！」






私の行きつけの薬屋は少し離れた場所にあり、道中の店に立ち寄り皆さんのお土産に何か買おうと選んでいたらいつの間にか日が暮れてきていた。





しのぶ「こんなにも時間をかけるつもりはなかったのですが…」





ついつい買い物が楽しくなってしまい時間をかけすぎたと反省していると少し向こうに傷を負っているAを見つけた。





しのぶ「Aさん、その傷はどうしたのですか？」




『わっ、しのぶ！えっと、これは、任務で鬼と戦った際に子どもを庇ってできて…ベツニイタクナイヨ』




しのぶ「嘘はいけませんよ。その傷が悪化したらどうするんです。蝶屋敷に行きましょうね」




『このくらいいけるのにーー』ﾑﾝｯ






駄々をこねるAを強制的に蝶屋敷に連れていき調合した薬で治療をし包帯を巻く。






『…久しぶりだね、こうやって包帯巻いてもらうの！』




しのぶ「昔からAさんは怪我をしすぎなんですよ？もっと身体に気をつけてください」




『ごめんって！でも、ほらしのぶがいるじゃん？』




しのぶ「その私に今日頼らなかったのは誰なんでしょうねぇ？」




『いや、もうほんとごめん許して』






2人とも昔とは変わったけれどやっぱり話すと落ち着きますね。



しかし、昨日からしのぶと呼び捨てされる度に胸がドキドキするのは何なんでしょうか

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