4話 ページ4
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そっ、そんなに叫ばなくても…。
マネージャーという単語に皆がこちらを振り返る。
「おぉー！田中が言ってた子か！俺は澤村大地、バレー部の主将をやってる」
よろしくな、と挨拶をしてくれた。
とても優しそう、お父さんって感じ。
すると澤村さんは「清水！」と先輩マネさんの名前を呼んだ。
傍に来てくれたのはそれはもう美しい人だった。
「清水潔子、マネージャー希望で来てくれてありがとう」
「嬉しい」と微笑みながら言ってくださる清水さん。
潔子、聞き覚えのある名前だ。
この先輩が田中の言ってた潔子さんだよね、絶対。
清水、潔子…。
名は体を表すとはこのこと…。
清水さんの美しさにぼーっとしてると「大丈夫？」と顔をのぞき込まれた。
『あっ、すみません。2年の東雲Aです。今日はよろしくお願いします！』
挨拶をし終えると、清水さんに連れられてマネージャーの仕事を教えてもらう。
選手がまだ全員集まってないから後でもう一度自己紹介をするらしい。
「Aちゃんは2年生だけど、どうして部活見学しようと思ったの？」
作業をしながら話しかけてくれる清水さん。
どうして、かぁ…。
『1年間帰宅部で過ごして思ったんです。とてもつまらないと』
私は積極的に人に話しかけに行けるタイプじゃないから、決まった人としかあまり行動しない。
別にそれが不満だったって訳じゃない、凄く楽しいし。
けど、ふと思ってしまう、私の人生はなんだかつまらないなぁと。
私の思い描いていた高校生生活はこんなダラダラ過ごして終わっちゃうのかと。
『だから、部活に入ったら変わるんじゃないかって思って』
部活に入ったところで理想の生活があるわけじゃないのはわかってる。
アニメや漫画の世界じゃあるまいし。
「そっか」
『なんかすみません、こんな不純な気持ちで…』
頑張ってる人の前でこんな馬鹿正直に言うものじゃなかったなと思い謝る。
だけど横で作業している清水さんの顔を見ると、何故かきょとんとした顔をしていた。
え、私おかしなこと言った？
「大体の人がやった事ないことを始めるのって、そういう些細なきっかけなんじゃないかな
理由がなんであれ、やってみたいっていう気持ちが大切なんだと思うよ」
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作者名：ふゆ | 作成日時：2024年2月25日 2時
