カミツレ【轟焦凍】 (ページ21)

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21話ページ21

轟 side

森咲の後ろから奇襲を仕掛けてきたヴィランに気づき、咄嗟に彼女の腕を引っ張る

話に気を取られすぎたな…危ねぇ

｢…なんで助けた｣

右手でヴィランを凍らせると、後ろで森咲がなにか言っている

振り返ると、顔面蒼白で焦点の定まらない目をした彼女がこちらを見ていた

…なんだ？

｢っ…ごめ…ごめん…｣

『…おい、大丈夫か？』

明らかに様子が変だ

震える手で俺の腕に触れる森咲は、何かに怯えているようにも見える

｢ごめッ…ごめん、ごめん｣

『俺は大丈夫だ、腕も問題ねぇ』

｢っ…ぁ…私…｣

『おい』

｢っ…｣

『おいッ…！！』

森咲の肩を少し乱暴に揺すると、我に返ったのかハッとした表情を見せた

…なんだったんだ？

『お前、やっぱ皆のとこ行けよ』

｢…大丈夫｣

『明らかに大丈夫じゃなかっただろうが』

｢大丈夫だってばッ…！！大体、なんで私のことなんか助けたの！？｣

『俺が助けなきゃ危なかっただろ』

｢余計なお世話！私1人でもなんとかできた！｣

『意味わかんねぇな、なにに怒ってんだよ…！』

｢わかんない！？あんたに助けてもらいたくなんかなかったって言ってんの！！｣

そういう事かよ

戦闘訓練の日から、コイツが俺のことを敵視していることは知っていた

だからって今はそんなこと言ってる場合じゃねぇ

『今はんなことで張り合ってる場合じゃねぇだろ、状況判断もできねぇのか？』

｢そんなことっ…！｣

『この状況で…そんなくだらねぇ私情でつっかかってくるくらいなら、ヒーロー志望なんかやめちまえよッ…！！』