鬼がいない世界だったら幸せだったのかなって言ってみた ページ2
無一郎
「僕には分からない。」
一点を見つめていた私の瞳に映り込み穏やかな表情で声音で頭を撫でてくれる。
「鬼がいなかったら僕は記憶を失っていないし家族だって失っていなかった。
でもね、A。鬼がいなかったら君には出会っていなかったかもしれない。違う環境で違う国で生まれ育っていたかもしれない」
そうだ、私と無一郎はこの鬼殺隊があったから出会い、お互い惹かれあっていま恋人同士になったんだ。だからね、と続けた無一郎の手は私が流した涙を優しく拭った。
「案外僕は今、幸せだよ」
不死川
「そうかもなァ。」
あぁ案外肯定するんだな、なんて思ってると顔に出ていたのかケラケラっと笑われ頭にぽんっと暖かい手が置かれる。
「鬼がいなかったら、なんて考えない日はねェ。だがなこんな思いをするのは俺たちの時代で終いだ。
俺が絶対ェ、鬼共をぶった斬る。残った守りてぇもんを俺は死ぬまで守り通す。」
真っ直ぐな瞳は私を射抜くとぶわっと秋の風が吹き抜けた。綺麗な紅葉が散り実弥さんの髪の毛に落ちた。
『えぇ、期待しています』
手を伸ばし紅葉をとるとどちらともなく近づく唇。触れるまであと3cm。
伊之助
「んなこと知らねぇ。俺は今鬼共を斬るために刀握ってんだ。いたらいなかったらなんて知らねぇ!!考えたこともねぇ!!」
むしゃむしゃと持ってきた菓子を頬張る手を止め真剣に応えてくれる伊之助。そんな伊之助を見たのは初めて思わず呆気にとられているといつの間にか空になった菓子を入れたお皿。
満足したのか外していた猪の被り物を再び被りこちらに手を差し伸べる伊之助
「もし俺様が全部の鬼をぶった斬ったときは特別に俺様のものにしてやってもいいぜ!!」
はいはい。と言いながら歩く道はいつもより軽く綺麗に見えた。
煉獄
「よもや君は難しいことを言うな!」
相変わらずのクソデカボイスを響かせる彼には嫌でも慣れた。うーんと首を捻らせ私の質問に対する応えを考えてくれているらしい。
『すみません。あまり気にしないでください。うっかり口に出してしまった言葉なので』
そそくさとその場から立ち去ろうと腰をあげるとぱしっと掴まれる手首。先程のクソデカボイスとは比べ物にならないくらいのゆったりした声音で話し始める杏寿郎さん
「うっかり、ということはそれは君の願望であり望みなのだな
どこが正しい道かは分からない。しかし君と一緒ならば俺は、きっと君を幸せに出来る自信がある。」
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作者名:あおまるそ | 作成日時:2020年10月19日 0時