俺が死にたくなった日【赤葦京治】 (ページ6)

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嫌悪と悲哀が混ざり合ったやるせない胸の苦しさに押しつぶられそうになる。

そう語る貴方の慣れた様子の苦笑に口付けをすることは

許されないことであったのでしょう。

「はっ」

気付かない内に溺れ出た自らの失笑。
誰もいない、暑さだけが募る部室に一人、先輩方を待つ。

今日はレギュラーメンバーだけで、一年生は親善学習でいない。

ひとりぽつんと。

朝の出来事を思い出す。

＿＿助けて

そうAさんが呟いた相手は俺ではないし、不特定多数でもない。貴方を困らせている本人で、貴方を愛する木兎さん。

「ははっあはは、は」

今度は意識的に零した笑いだった。

＿京治

確か、あの日は春の陽気で目覚めた朝なのに夜には雪が降っていた。

Aさんは白のワンピースを着ていたけれど夜には俺のカーディガンを着ていた。

Aさんの服も、会った日の気候さえも覚えているのは。

あの日が俺に笑顔を見せてくれた最後の日とわかっていたからだろう。

もう、二度と。彼女は京治と呼んでくれやしないのだろう

そう思っていた矢先

「京治！」

と部室の古びたドアが音を立て勢いよく開いたと思ったら

倒れこんできたAさんの声。

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