俺が死にたくなった日【赤葦京治】 (ページ5)

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すると木兎さんはとても満足そうに大きく頷いた。

「赤葦、わりぃけど説明してくれ。人の女を、Aを泣かせたのはどーしてだ」

「………Aさんの、彼女さんの背中に、夏なので蚊が止まっていたんです。だからほんの軽く優しく叩いたつもりでした。

ただ、ただ、彼女さんの背中に傷があって、無数の。それに気が付けなかったので、痛がって、怯えてしまいました……すみませんでした」

我ながらなんと饒舌なのだろうか。
木兎さんじゃない仲の良い人たちから見ればこんなに事を話す俺を不審がったりするのだろうけど。

彼は、素直だから。

俺の好きな少年のような笑顔で頷くのでしょう。

「そっか、悪かったな。Aドジだからたくさん傷があってな。疑って悪かった。
赤葦もこれからこいつには触れない方がいい、すぐこうやって泣いてしまうから」

いつもより饒舌なのは、俺だけじゃありませんでしたね木兎さん。

貴方と違って俺は日々疑いながら生きているから素直ではないから

貴方の嘘さえ信じることができない。

3人な降りかかる雨は水玉模様どころかシャツの大部分を染めて

Aさんの涙を作った。

「か、のじょさん。すみませんでした」

「ん、、こたろ」

「あー、はいはい。悪いなちょっと赤葦とは話したくないみたいだ！部活でまた！」

話したくなくじゃなくて、話させまいとしているのは木兎さんで、

きっと明日のAさんはより多くの紫色に包まれるのだろう。

雨の中、蝉が鳴いた。

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