【文スト】異能力？いいえ、霊能力です肆

くねくね7 ページ7

『この子らを頼む…人の子よ』
「はい」

土地神様の言葉に、私は持ってきていたキーアイテムを掲げた。
キーアイテムは鬼灯の木の枝を数本手折ってきた物だ。
鬼灯は、死者を導く提灯の意味を持つ。
彼等が元人であり、その根源となっている物が魂なら、この鬼灯で導けないだろうかと考え付いた。

『北山の神・玄天武帝、司水にて御霊、彼岸へと流導せし…呼蛇行亀』

言霊を述べれば、枝に付いた鬼灯の実から蛇の形をした光がくねくねに向かって伸びてゆく。
光に巻き付かれたくねくねは人の形を無くし、御霊、人魂と呼ばれる形へと戻った。光の蛇はそれを飲み込み、鬼灯の中へと戻ってくる。
魂は鬼灯の実の中に納まり、その中で蛍の様に光を放っていた。
水を司る神・玄武。その力を借りたこの術。
水は、池にや湖に溜まっている物だけでなく流水もまた然り。
流水は人の魂を洗い清めると同時に、彼岸に流れる此方と彼方の境界となっている川も意味する。
彼らの魂を流し、導いてくれるだろう。

「土地神様、後は任せても？」
『礼を言う、人の子よ』

全てのくねくね…だった魂を回収し終わった鬼灯の枝を、土地神様のお膝元に植え直した。
比較的新しい子はすぐに向こうへ行けたようだが、まだ沢山の魂が残っている。
時間はかかるだろうが、この子達が無事向こうへ流れて行くまでは、土地神様に見守っていて貰う事にした。

「一件落着だね！」
「そうだな」

そう言ってアンドレと笑い合った刹那、森の闇の向こうで銃声が轟いた。

「龍之介達だ…！」
「駄目だぞ」
「まだ何も言ってない…」
「アレは、此方とは関係のない事。首を突っ込めば危険になるのはA、お前なのだ」
「う…」

アンドレの言う事はよくわかる。
私が行ってもそれは野次馬にしかならない。二人の邪魔になって終わりだ。

「依頼は終わった。依頼主の報告しなければならい。戻るぞ」
「…うん」

後ろ髪を引かれながらも、森を後にする事にした。


…
……
………
side：中原

森の中の廃れた古小屋。本当にこんな処に取引場があるのか疑問に思ったが、合流した部下を引き連れて隠されていた階段から地下に降りれば、そこは立派な交易抗になっていた。

「な…」
「ポートマフィア！！？」
「ほう、立派なモンだな…やれ」

手を振って合図すれば、部下達が一声に銃を放った。
芥川は芥川で仕事をしているらしい。
この分じゃ、俺が手を出す事はなさそうだ。
事は、ものの数分で片付いた。

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