雲外鏡2 ページ44
「雲外鏡っていうのはね…」
「ここにおったか唐変木!!!」
「わっ、国木田さん?」
説明しようとした矢先、大きな音を立ててドアが開き、怒声が響いた。
そこに立っていたのは般若を背負った国木田さん。
「仕事中に何をやっているんだ貴様は!」
「太宰、今日は非番だと言っていなかったか?」
「非番な訳があるか!」
「国木田君、人間休息も必要だよ。私とAちゃんの逢瀬を邪魔しな…」
「黙れ!俺がお前を探すためにどれだけ走り回ったと思っている!」
「お疲れ様でした」
「此方こそ、迷惑をかけたな」
猫の様に首根っこを掴まれた太宰さんは、国木田さんに引きづられていった。
問答無用だなあの人。
まぁ、仕事をしなかった太宰さんが悪いよね。
「雲外鏡の話はまた今度だね」
一番興味を持っていた人がいなくなってしまった以上、話す理由はない。
私は鏡を机の中に仕舞った。
…
……
………
side:Q
ーキュうさクくぅん…
「誰…?誰かいるの?」
そんなはずない。
この座敷牢の中はいつだって僕一人だ。
暗闇の中見回しても、誰も見えない。
ーこォこだよォ
「…?ッうわァァアア!!」
かくれんぼの様な韻と共に、手を掴まれた感覚に、恐る恐る手元を見れば、あの紫色の鏡から手が伸びて、僕の手を掴んでいた。
慌てて投げ捨てた鏡は、床に落ちることなく空中に留まり、化物へと豹変した。
鏡の顔をした化物は、僕の姿を写すと嬉しそうに眼と口を弧にした。
ーきゅウさクくん、迎え二来たヨぉ
「来るな来るな来るな来るなァ!!」
助けて助けて助けて助けて…!!
僕の能力は人じゃないと発動しない。
「誰かぁアアア!!出して、此処から!!!ねぇ、森さん!エリス!中原さん!」
近づいてくる化物から逃げたくて、必死に座敷牢の扉を叩くも金属音が暗い部屋に木霊するだけ。
この部屋には、ごはんの時ぐらいしか人は寄り付かない。
誰でもいい、何でもいい、助けて。
助けてくれるなら、此処から救ってくれるなら、それこそ太宰さんだってー。
ーねェ、約束したでショう?13歳になっタらァ、迎えにクるってェ
「知らない知らない知らない…!厭だ、来るな!!いやだああああああ」
化物の手が僕に伸びて、腕を掴んだ。
離れようにもビクともしない。
僕の手が、腕が、躰が、化物の中に引き込まれていく。
怖い怖い怖い怖いー。
「たす、…て、…ちゃ…っ…」
助けて、お姉ちゃん。
ーうふふフふ、きゅうサくクん、つぅかまァえたぁ…
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奈々(プロフ) - 恐らくリフレインの意味を間違ってしまっているのでは?と思いました。勘違いでしたらすみません。 (2018年2月25日 18時) (レス) id: 032453cb9b (このIDを非表示/違反報告)
奈々(プロフ) - とても面白くて、気に入って1作目からここまで一気に読んでしまいました!!1点、気になった点があるのですが、作中何度かリフレインという言葉が出てきてますが、リフレインは差し控える、といったような意味合いです。 (2018年2月25日 18時) (レス) id: 032453cb9b (このIDを非表示/違反報告)
要(プロフ) - リクエストで能面なんていかがでしょう!怪異症候群であったので是非調べてみてください! (2018年2月12日 22時) (レス) id: 433c3ce074 (このIDを非表示/違反報告)
アル(プロフ) - リクエストいいですか?キャラは誰でもいいのですが人柱と地縛霊を書いてほしいです!更新たのしみにしています。受験がんばってください! (2018年2月10日 16時) (レス) id: efae94ae6b (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - 玲瓏なる蒼玉(玲玉)さん» すみません受験で更新できずにいるんですが、50話まで書くと完結表示になってしまうのを知りませんでした!更新停止中に直しましたので、リアルが片付いたら更新したいと思います (2018年2月5日 18時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:amato | 作成日時:2017年8月27日 13時