【文スト】異能力？いいえ、霊能力です肆

くねくね5 ページ5

日はすっかり暮れ、電灯もない田園風景は闇に包まれていた。

『主、奴等の場所を見つけた』
「銀零、ご苦労様。よし、じゃあ行こうか」
「…待て、A」
「ん？わッ…」

今回の依頼を遂行するためのキーアイテムを抱えて、出かけようとした時、アンドレに腕を引かれた。
すっかり聞き慣れた銃の発砲音がすぐ頭上でする。

「アンドレ…？」
「マフィアの童から、Aが狙われるかもしれないとの情報が入っていたから、警戒していたんだが…」
「っ…」
「安心しなさい。殺しては無い、家の主人に言って医者を呼んで貰えば助かる」

開かれた襖の向こうには、３人の男の人が倒れていた。

「アンドレ、何してるの？」

倒れた男の人達の身体を探るアンドレ。
何かを探しているようだった。

「人質として攫うつもりなら、殺しては意味がないから大丈夫だとは思うが…念の為にな」

なんでも、中原さん達を襲った人は爆弾で爆発してしまったらしい。
依頼者の家で3つも爆弾が爆発しては大変だ。想像して、顔から血の気が引いた。

「爆弾らしきものは見られない。大丈夫だ」
「…よかった…」

騒ぎを聞きつけた家のご主人達が上がってきて、事態を見て腰を抜かしてしまった。
自体を説明したら、戸惑いながらもなんとか納得してくれたようでお医者に連絡してくれるそうだ。

「じゃ、行くよ」
『此方だ』

先導する銀零の後を私とアンドレは追った。
我が守護霊獣ながら闇の中を駆ける銀色の獅子は、凄く幻想的で美しい。

『この先だ』
「ありがとう」

村はずれの小さな森。
昼間にも来たが、大きな一本の木が印象に残っていたが、特別何かを感じたわけではない。
暗い森の中に足を踏み入れた。

「A、避けろ！」
「え、ひにゃッ！？」

アンドレに突き飛ばされて尻餅をつく。舌噛んだ…。
もう、今日は一体何なんだ…。

「Aか！？」
「その声は中原さん？」
「ポートマフィア、俺が未来を読んでいなければ、貴君の異能がAに当たっていたぞ」
「…怪我はないか」
「大丈夫だよ、龍之介。そっか、さっきのは黒猫ちゃんだったのか」
「黒獣だ」

そんな即答で否定しなくても…。

「なんでここに居やがる？」
「銀零が、この森が依頼の場所だって突き止めてくれたんだ」
「そういや、もう一つ依頼があるって言ってたな」
「うん」

もう一つの依頼、それはくねくねを消すこと。
彼等について分かっている事は、元人間という事だけ。
賭けだが、やるしかない。

「お互い、がんばろ」

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