【文スト】異能力？いいえ、霊能力です肆

「寝てる間に全てが終わっていました」 ページ38

side：太宰

「拙いな、中也の躰が持たない」

口や鼻から伝う血が、異能に耐え兼ねて、内部から壊れ始めている事を示していた。

「生憎だね。ああなったラヴクラフトを外部から破壊する手段なんて存在しない」
「”外部から”？つまり、内部からの攻撃は効く訳だ」

引き千切られた偽物の腕に仕掛けておいた爆弾。
それはまだ、奴の中に存在している。
私はにっと笑い、起爆装置を押した。

ドッ…！！

派手な爆発音に、奴の悲鳴が重なる。
内部からの攻撃が聞いてくれたのか、彼の躰に亀裂が走った。

「やっちまえ、中也」

白月に重なる黒い重力子弾が、奴に向けて放たれた。
二度目の爆発音の後、そこには何も存在していなかった。
悪夢は消えた。

「ハハハ、ハハハハハッ、ハハハ…」
「敵は消滅した。もう休め、中也」

壊れるまで破壊を尽くそうとする中也の手を掴み、異能を解除する。
中也の瞳に正気が戻った。

「ゲホッ、この……糞太宰……」

終わったらすぐに止めろと言われていたけれど、私はしなかった。
だって…

「もう少し早く止められたけど、面白くて見てた」

こんなボロボロの中也は中々見れるモノじゃないからね。

「手前を信用して……『汚濁』を使ったんだ……」

中也の拳がトンと私の胸を突く。

「ちゃんと俺を、拠点まで……送り届けろよ……」
「任せなよ相棒」

そんな気はさらさらないけれど、笑顔で答えておく。
だって、中也は身長のわりに重いんだもの。
男を抱える趣味は無いし。

「何時見ても凄いな」
「Aちゃんに流れ弾とか飛んでないかい？」
「あぁ、無事だ」
「当然だろう」

たとえ飛んできても、この2人なら身を犠牲にしてでも傷を負わせないだろう。
作之助の腕の中ですやすやと眠るお姫様に目を向ける。
中也とは違って実に愛らしい寝顔に、心が洗われるようだ。

「信じられない……あのラヴクラフトが……君達は一体」
「悪い奴の敵さ」

Aちゃん風に云うなら、一件落着。

ーーーーー
此処までお読み下さりありがとうございました！
やっとギルド編終了です！
長い間お付き合い下さりありがとうございます。
此処から先は、番外編を挟みつつ、通常路線に戻し、そろそろ完結に向けていきたいと思っています。
リアルが忙しく、私自身が受験生であるため、もしかしたらリクエスト再開が出来ないかもしれません。
どうか、今後ともよろしくお願いいたします。

「おはよう！…え、何それ聞いてない」→←「漫画で読み方覚えたら漢字の書き取りで間違えるって、あるあるだよね」

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す