【文スト】異能力？いいえ、霊能力です肆

「風変わりな拘束プレイですね。え？違う？」 ページ26

「っ〜〜！」
「やぁ、調子はどう？」

身体を木の根に縛り付けられた状態で、目の前の男を睨みつけた。
彼の能力なのか、体中に根が入り込み、耐え難い激痛に苛まれる。

「痛い……痛い痛い痛いぃい、躰がボクの躰が……！」
「なんで、その子まで…！あ゛ァッー！！」

前方の存在に気を取られて、背後を取られた。
木の根で身体を拘束された後の記憶はない。気が付けば、この地下室であの少年と一緒に捕まっていた。

「何も知らないんだね。彼はポートマフィアの異能力者だよ」
「！そんな、小さいのに…」

鏡花ちゃんもまだ少女だが、隣で苦しむ少年は彼女よりも更に幼く見える。

「ま、恨むなら”緊急プラン”を考え出した作戦参謀かあのラヴクラフトの精神を破壊なんていう馬鹿を仕掛けた事と、小さな正義感に駆られて首を突っ込んだ君達自身を恨みなよ」
「……殺す……殺してやる……！」
「駄目…！あああああああ！！！」
「い、いギャアアアァァああ！！！！」

私の制止も虚しく、男が木の根を踏みつけた瞬間、私と少年の身体に激痛が走る。

「”緊急プラン”っていうのは要するに、君と僕の異能の連携さ」

腰を落ち着けた男が話始めた。
彼の異能はこの木を通じて感覚を共有するものらしい。何も知らない地上の人が木を踏みつけたり、遊んだりする度に、私達の身体に痛みとなって流れむそうだ。

「子供を拷問して、楽しい、ッの…？」
「仕事だよ。僕がやらないと、故郷の家族が飢える。標的はその少年だったんだけど、仲間が連れ去るのに失敗したお嬢さんも一緒にいたから、序にね」
「そう…っ、貴方の家族は、汚い金で食べる食事が、随分好きなのね？ッああああああああ！！！！」
「君が、僕の家族の何を知っている？」
「っ、なら、今の貴方を見たら…その家族は、さぞ、幻滅する事だろうね…！！」

歯を食いしばって痛みに耐える。
口の中に鉄の味が広がった。

「はァ、ハッ…！」
「…話を戻そうか。それで、僕達の能力を使った作戦こそ”横浜焼却作戦”だ」

まるで、映画の話でもするように淡々という男。
燃やす？
この町を？
なんの関係もない、大勢の人達を巻き込んで？
フザケルナー！！！

「君の町は滅びる。君の所為でね」

違う。

「どうして……僕はただ楽しく生きたいだけなのに」

泣かないで。

「こんな力欲しいと思った事なんて一度もない。なのにどうしていつも、こんな酷い事ばかり僕に起こるの？」

少年の流した涙は、あまりにも、澄んでいたー。

「大丈夫。神様は、ちゃんと人を愛してる」→←「大抵、いい事は立て続けに起こらないのに、悪いことは立て続けに起こるものだね」

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