【文スト】異能力？いいえ、霊能力です肆

くねくね3 ページ3

「二人は、宿は？私は依頼人のお家に留めて貰ってるんだけど…」
「俺達は日帰りだ。夜に仕事して、そのままヨコハマまで帰る」
「は、ハードだね」

二人はよくある事だと、平然としている。
しっかり宿をとって宿泊した後、お土産まで買ってヨコハマに戻った探偵社との違いに驚いた。
マフィアってブラック企業なのかな…。
今度、森さんに聞いてみよう。

「仕事が夜って事は、今暇？」
「まぁな」
「あ、じゃあこれから…」

一緒にアイスでも食べないか誘おうとした処で、私の携帯が鳴った。
思った通りの人物からの着信。

「もしもし？」
『A、早めに帰ってきなさい』
「えー…友達に会ったからこれからアイスでも食べに行こうかと思ったのに…」
『友達？まさか、マフィアの連中ではないだろうな？』

うげ、アンドレ鋭い。

「えっと…それは…」
『そうなんだな』
「…はい」

ママンに嘘は通じなかったよ。
尚更早く帰ってこいと忠告を受けて電話は切れた。

「うぇ〜」
「んなもん無視しちまえ。お前だって大人だろうが。餓鬼の門限じゃねぇんだ」

簡単に言ってくれる。
アンドレのお説教は長いし怖いんだからな！

「駄菓子屋さんにアイス食べに行こうと思ったのに…」
「駄菓子屋？」
「そ！そこのおばあちゃんと仲良くなったんだ！」
「…本当に人を誑かすのが上手いな」
「龍之介、それ褒めてる？」

なんでそこで黙るのさ。
私がいつ人を誑かしたというんだ。全く。

「それにしても、二人がすぐにくねくねから遠ざかってくれてよかった…」
「アレはなんなのだ？」
「…元人間、かな」

くねくねに至っては、私自身もその起源を正確には知らない。
人身御供をした結果の成れの果てであったり、土地神の怒りに触れた結果であったり、ソレらしい話はあっても正解と言える信憑性のある話はない。
ただ、肉眼だろうと何かを通してだろうと、アレを間近で見たら同じモノになってしまう。
今回、この村に来たのも龍之介が言ったように、くねくねに関連した依頼だ。

「じゃあ、さっきの人じゃなくなるってのは…」
「アレの正体が分かる程、間近で見てしまうと同じモノになっちゃうの。…そうなったら、もう助けられない」

今回の依頼内容は2つ。
田舎に遊びに来ていた男の子が、興味本位で双眼鏡を使ってくねくねを見てしまったらしい。それを助けてほしいという依頼がまず１つ。
これはもう、どうしようもない。
そして、もう一つはー。

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