手鏡6 ページ47
「作之助…!?」
気が付けば、私は作之助に抱きしめられ、床に伏せていた。
銃弾は、私にも鏡にも当たることなく外れた。
「何で…」
「馬鹿野郎!!」
「っ…」
初めて聞く作之助の怒声に身体を竦ませた。
「Aの考えは分かる。だが、それはお前がやるべき事じゃない」
次の瞬間には、さっきの怒声とは裏腹にいつも通りの作之助がそこにた。
暖かくて大きな手が私の頭をくしゃりと撫でて、私の手から手鏡を抜き取った。
「ジイド」
「分かっている。Aは下がって居なさい」
「でも…っ」
「Aちゃん、いい子だからこっちにおいで」
森さんに手を引かれて後ろに下がらされる。隣でエリスが安心させるように手を繋いでくれた。
私を背にして、作之助とアンドレが前に立つ。
「私の目的は彼女だけなのですが、邪魔立てするなら貴方方も…死んで頂きます」
「作之助、アンドレ!……嘘」
私の心配を他所に、次々と放たれる銃弾に二人は掠りもせずに避ける。
まるで、次にどこに弾が飛んでくるのかが見えている様に。
「凄い…」
「当然だよ。戦いから4年も退いていながら、少しも腕は落ちていない」
激しい攻防戦。
完全に殺意を持って攻撃してくる樋口さんに対し、2人は、彼女を傷つけまいと戦っているため多少なりと不利に見えた。
一縷の弾と弾の縫い目に、作之助が飛び込んだ。
「いやあああああ!!!作之助、やだ、やだよ…作之助!!!」
完全に死角を突いていた作之助に、突然樋口さんの銃口が向けられ、引き金が引かれた。
作之助が、床に倒れる。
現場に飛び込もうとする私を、森さんが痛い程に力で止めていた。
「離して!ヤダ、作之助が、作之助!!!」
「落ち着くんだ、Aちゃん。彼は大丈夫だよ」
「嘘!だって、作之助が、床に…!!」
ガシャンという音に森さんに向けていた視線をすぐさま部屋の中に戻した。
そこに倒れていたのは、銃を手放した樋口さん。
「作之助、何時までそうしている」
「A、心配させて悪かった。だが、上手くいったぞ」
「え、あ…?」
アンドレの声に何事も無かったかの様に身体を起こした作之助。開かれた手の中には粉々に割れた鏡があった。
「もう大丈夫そうだね」
「作之助!莫迦、ばかぁ!!」
森さんの手が離れた瞬間、私は部屋の中へ走った。
力一杯作之助に拳を叩きつける。
死んでしまったかと思った。
床に倒れた瞬間、呼吸も心臓も動きを止めた。
我ながら、子供みたいに作之助にしがみついて泣きじゃくった。
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をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時