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猿夢1(天上院様からリクエスト)★ ページ20

side:泉

目を開けると、そこは電車の中だった。

「(変な夢…)」

これは夢だと、何故か自覚を持った。
電車の中は老若男女が大勢乗っていた。数えてみると、35人。
35…私が屠った人達の数と同じ…。
皆一様に顔色が悪く、生気を感じない。嘗て見た、死人の様なー。
そう思うと、背中に冷たいものが走る。鳥肌が立つ。
この電車に乗っていてはいけない…!
本能的にそう直感した。
降りなくちゃ。

”出発します〜”

刹那、男の声でアナウンスが流れ、静かに扉が閉まった。
電車が走り出す。
ホームを出ると、すぐにトンネルに入り、紫色の明かりが変に不気味だった。
このまま進めば、きっと悪い事が起こる。私の中の何かが警告を鳴らし続けている。

”次は活け造り〜活け造りです”

男の声で、再びアナウンスが流れる。
活け造り…?変な駅名。
そう思った瞬間、後ろから静かな空間を裂くようなけたたましい悲鳴が響いた。

「っ、何…?」

裏にいた時に何度も経験した、濃い血の臭い。
振り向けば、一番後ろの座席にいる男の人に、ボロボロの布を纏った4人の小人が群がっていた。
血の臭いの元を辿れば、男の人の身体が刃物で切り裂かれているのが分かる。
まるで、活け造りの様にー。
今もなお響く、痛烈な悲鳴。

「やめて…、やめ…っ」

思い出す。
逃げられない過去。
汚れた手。
浴びた血。

『夜叉白雪は殺戮の異能だ。殺さねば、価値は無い』

同じことをしてきた。
私も。
あの小人と同じように、標的の悲鳴など無視して、ただただ命令された通りに夜叉を、刃を振るった。
機械的に男を切り刻む小人達に、嘗ての己の幻影を見る。
床には、男から取り出された臓器がびちゃっと音を立てて次々と散らばった。

「なんで…」

なんで、他の乗客たちは眉一つ動かさない。
空間を劈く悲鳴も、噎せ返るような鉄の臭いもまるで感じていないみたいに。
やがて、小人達が男から離れると、そこに男の姿は無かった。
赤黒い血と、”男”だった肉片だけが残っている。

”次は抉り出し〜抉り出し〜”

再び流れたアナウンスに、身体がビクリと跳ねた。
まさか…まさか、まさか…!!

「いや、だめ…!」

今度は二人の小人でスプーンみたいなものを持ってる。
私の後ろに座っていた女の人の目に、それを差し込んだ。

「やめてー!」

動かない。
如何して…?
自由になるのは首だけ。
小人を止めようとした時、身体が石になった様に動かない事に気づいた。
床に、女性の眼球が二つ落ちたー。

イラスト頂きました!・:*+.(( °ω° ))/.:+→←その後…



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をたく - 夏目友人帳とコラボでこの作品出してほしい (2020年1月3日 4時) (レス) id: cd1a846ab2 (このIDを非表示/違反報告)
光牙 - 怪奇症候群を思い出すなぁ... (2018年8月16日 20時) (レス) id: bfcb6bfd1c (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - ルルさん» コメントありがとうございます!猿夢はグロいですよねwしかも、元ネタ読むと自分も同じ夢を見るという噂が…。まぁ、私見てないんですけど (2017年8月31日 6時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
ルル(プロフ) - ヒャ、猿夢はトラウマです…うぅ…(長い間見てなかったです。すみません) (2017年8月30日 5時) (レス) id: 622016f6ff (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - にぃさん» ありがとうございます! (2017年8月27日 9時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:amato | 作成日時:2017年8月16日 22時

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