「揚げ出し豆腐は世界を救う」 ページ10
「…揚げ出し豆腐が食べたい」
目を覚ますも、あまりの空腹に第一声はそんな言葉だった。
「目が覚めたのか」
「オダサクさん。おはよーございます。ここどこ?」
「ここは異能特務課です」
身体を起こすと、見慣れない部屋、見慣れないベッドの上にいた。
オダサクさんと、眼鏡をかけたイケメンがいて、少し離れたところにスーツを着た人たちが様子を見ている。
「腹減ってるのか?」
「めっちゃ空いてる」
オダサクさんの問いにぐきゅる〜とお腹を鳴らしながら答えると、隣の眼鏡さんが何か言いたげな顔をした。
「そういえば、その眼鏡黒子さん誰です?白髪さんは?」
「めが…っ!?…私は坂口安吾というものです」
「これはご丁寧に…。私は小泉Aです」
「ミミックとの戦いの概要はオダサクさんから聞いています。あなたが突然現れたことも。しかし、異能力を理由にしてもいささか信じられないことが多いのです」
坂口さんの言いたいことが何となくわかった。
要するに貴方の口からも説明聞きたい的な奴だ。
「私が把握している事でいいのなら、話します」
「助かります」
私はすべてを話した。
まず、私は異能力者ではなく霊能力者であること。こことは別の世界から来たこと。オダサクさんの子供達から依頼を受けたこと。…そして、その子達がちゃんと向こうに逝けたこと。
「そうか、彼奴等はちゃんと行ったのか」
オダサクさんは、少し寂しそうに微笑んだ。でも、そこに絶望の色はなあった。故郷を懐かしむような顔だ。
坂口さんは説明に納得していないようで、一通り話終えると怒涛の質問が来た。
「坂口さんって、頭硬いって言われません?」
「大きなお世話です。…しかし、確かにこの国に貴方に該当する人間はいません。裏にも、表にも」
おい、そんな恐ろしいこといつの間に調べたんや。こえぇ、政府超こえぇ…!
「そうだ、A。アンタはこれからどうするんだ?Aに救われた命だ。できれば、アンタのために使いたい」
「そんな大層な…そうだなぁ、とりあえず帰る家が欲しいな」
「…そうか」
ほほ笑んで頭を撫でたオダサクさんの手は、とても暖かかった。
「眼鏡ってだけでなんか、冷たいイメージ持ってたわ。サーセン」→←「座右の銘は人生楽しんだもん勝ち!」
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銀狼(プロフ) - ゾッとして怖いって思っちゃうけど次のページの手が止まらない!2周目! (2019年12月2日 20時) (レス) id: fe6437d156 (このIDを非表示/違反報告)
泉桃花クラスタ - すごく面白くて、毎日楽しみにしています。更新頑張ってくださいね!楽しみにしています! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 1a879c682f (このIDを非表示/違反報告)
カナネ - はじめまして、いつも読ませて貰ってますm(__)m 今また始めから読み返していて…間違えてたらすみません!コトリバコ5に誤字があったような気がします(>_<) (2018年3月22日 15時) (レス) id: 2f304636ee (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - 猫勇者(ヒナっち)さん» 怖いと思って頂けたら書いた甲斐がありますね^^ありがとうございます (2017年8月21日 17時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
猫勇者(ヒナっち) - あ、更新頑張ってください (2017年8月21日 12時) (レス) id: 3b5a43403c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:amato | 作成日時:2017年7月23日 16時