土地神5 ページ43
『Aさん、友達ですか?』
「あ、千羽様。おはようございます。…友達、なのかな?」
芥川君の作った折り鶴を私の折り鶴の隣に供えて、再度祈れば、このお社の主人が顔を出した。
「!其れは…」
「千羽様だよ、芥川君は見える人なんだね」
芥川君は普通の人に比べると、霊的なモノを感知しやすいみたい。大沼様と比べたのか、手乗りサイズの千羽様を見て少し驚いたようだった。
『力に成れるかはわかりませんが…お二人の願い、確かに聞き届けました』
千羽様はとても優しい神様だ。自分に自信が持てず、落ち込みやすい処はあるけれど。
「ありがとうございます」
千羽様にお礼を言い、大沼様の元へと急いだ。
「遅かったな、芥川とは何もなかったか」
「うん、大丈夫だよ」
流石に、大沼様の前で他の土地神様のお社に寄ってたとは言えず言葉を濁した。
「おぉ、完成してる!二人ともお疲れ様!」
買い物に行っている間に、すっかりお社は完成していた。あとは、大沼様のご神体を入れるだけだ。
「では大沼様、失礼します」
大沼様のご神体は山椒魚を模った銅像。それを、お社の扉を開き鎮座させ、祝詞を唱える。
唱え終わると、供物の川魚を食べながら私の儀礼が終わるのを待っていた大沼様の巨体が銅像に吸い込まれる様ににお社へと還った。
「一件落着!芥川君も何時間も引き留めちゃってごめんね。しかも仕事終わりに徹夜させちゃったし…」
「構わぬ。僕はそもそも、多くは眠らぬ」
だから身体弱いんじゃないの…?
「あ、そうだこれ!何か困ったことがあったら、依頼してね」
芥川君に、霊能事務所所長としての私の名刺を渡せば、受け取ってくれた。
「それと…」
「なんだ」
「友達になってほしい!私、同い年の人に会ったの初めてなんだ…」
「…僕と、か」
「A、その男はマフィアだぞ」
アンドレが忠告した。私の身を案じてくれているのはわかる。でも、せっかくの縁を無駄にしたくはない。ごめんね。
「……好きにしろ」
「!」
彼はそれだけ言うと、黒外套を翻してさっさと行ってしまった。お礼も、よろしくも言えなかったけどー。
「次に会った時でいいよね、…龍之介」
次会った時は、”貴様”じゃなくてちゃんと名前で呼んで聞くれるだろうか。
「全く、我らが君主は人たらしだな」
「そこがいい処なんだが、守る方の身にもなってほしいもんだ…」
最後に3人で、大沼様にお参りしてから事務所に帰った。
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銀狼(プロフ) - ゾッとして怖いって思っちゃうけど次のページの手が止まらない!2周目! (2019年12月2日 20時) (レス) id: fe6437d156 (このIDを非表示/違反報告)
泉桃花クラスタ - すごく面白くて、毎日楽しみにしています。更新頑張ってくださいね!楽しみにしています! (2019年3月30日 17時) (レス) id: 1a879c682f (このIDを非表示/違反報告)
カナネ - はじめまして、いつも読ませて貰ってますm(__)m 今また始めから読み返していて…間違えてたらすみません!コトリバコ5に誤字があったような気がします(>_<) (2018年3月22日 15時) (レス) id: 2f304636ee (このIDを非表示/違反報告)
amato(プロフ) - 猫勇者(ヒナっち)さん» 怖いと思って頂けたら書いた甲斐がありますね^^ありがとうございます (2017年8月21日 17時) (レス) id: 6e722ca549 (このIDを非表示/違反報告)
猫勇者(ヒナっち) - あ、更新頑張ってください (2017年8月21日 12時) (レス) id: 3b5a43403c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:amato | 作成日時:2017年7月23日 16時